今回は「美容成分で有名なレチノールに変わる、バクチオールという次世代美容成分の効果」について科学的に説明したいと思います。
すでに海外では、このレチノールに変わる美容成分である「バクチオール」が人気急上昇してきており、次世代の美肌化粧品と言われています。
最近の日本の傾向として「オーガニック✕ 美肌」が流行ってきているため、このバクチオールの人気が広がるのも時間の問題でしょう。
では、レチノールに変わる美容成分である「バクチオール」とはいったいどのような成分なのでしょうか。
今回は、美肌に対するバクチオールの科学的作用について、わかりやすく説明したいと思います。
今回の記事はこんな方にオススメ
・バクチオールって最近よく聞くけどどんな作用?
・レチノール配合の化粧品で肌荒れをしてしまう
・なぜレチノールよりもバクチオールの方が美肌に効果的なの?
1. レチノールの作用とは
では、従来の化粧品に含有しているレチノールとはいったい何なのでしょうか。そのレチノールはどんな作用をするのでしょうか。
レチノールは動物性ビタミンAの一種です。そして、そのビタミンAの主な働きは以下です。
■抗酸化作用
■上皮細胞の活性化
【抗酸化作用】
抗酸化作用とは、体内で発生した「活性酸素種」という有害物質を抑制する作用のことです。
「活性酸素種」は酸化力が強く、細胞やDNAやその他代謝物質を酸化してダメにしてしまいます。
活性酸素種の影響でこれらの物質が酸化されてダメになると、体の機能がおかしくなっていきます。
そして最終的に「がん」「肌荒れ」「基礎代謝の低下」「免疫低下」など、体に様々な影響が生じます。
その活性酸素種を抑制して、活性酸素種から体を守る役割を持つのが抗酸化作用です。
【上皮細胞の活性化】
ビタミンAは上皮細胞を活性化して、上皮細胞の働き量を引き上げる作用を持っています。上皮細胞とは、「外気に触れる体の表面すべて」に存在する細胞です。
つまり、ここでいう表皮細胞は「皮膚表面」「口内」「鼻の中」なども含まれます。
口内や鼻の中の上皮細胞は普段、粘膜を作り出す働きをしています。そのため、ビタミンAの働きによりこれらが活性化されると、粘膜の量が増えます。
その結果、外から入ってくる刺激物や細菌等の外敵から体を守るための免疫力が上昇します。
次に、皮膚の上皮細胞がビタミンAによって活性化された場合の効果は以下です。
■古い角質の除去効果
■肌の保湿力上昇
■肌のキメが細かくなる
■しわやシミの除去
これらはすべて、ビタミンAにより上皮細胞が活性化された時の効果です。
≪古い角質の除去効果≫
上皮細胞が活性化されることにより、上皮細胞の細胞分裂が促進され、その結果古い角質が押し出されて剥がれていく、という効果です。以下はイメージ図です。
≪肌の保湿力上昇≫
細胞分裂が促進されて、細胞がフレッシュ化した結果、肌表面の保水因子の保水力が上がることが理由です。
以下に肌の表面科学について詳細に記載していますので、詳しい話が知りたい方は以下の記事をご参照ください。
≪肌のきめが細かくなる≫
これも古い角質と同様です。古くなったガタガタのバランスの悪い角質層が剥がれ、フレッシュなバランスの良い角質が形成されるためです。
≪しわやシミの除去≫
しわの原因は、細胞が活性酸素種に侵された(酸化された)結果、老化細胞となってしまい、今まで10の働きをしていたものが5の働きになってしまうのが原因です。
シミの原因はメラニンによる色素沈着です。
メラニン色素が生産され、それが肌上に沈着する原理に関しては以下の記事に詳しくまとめていますので、もし興味があれば以下の記事をご参照ください。
つまり、しわに関しては、細胞のフレッシュ化により再び5の働きだった老化細胞が10の働きをしだすため、改善されるのです。
そして、シミに関しては、古い角質層が剥がれて新しい角質層が生じることで、解消されるのです。
一般的に、細胞分裂促進により肌表面の角質が新しくなるサイクルのことを「ターンオーバー」と呼んでいます。
【レチノールの特徴】
レチノールはビタミンAであるため、基本的には先ほど紹介したように、体に良い働きをします。
しかし、レチノールを化粧品として肌上で使用する際には注意点があります。それが以下です。
■肌への刺激性
■化学的不安定性
≪肌への刺激性≫
レチノールは、細胞分裂を促進することで古い角質を除去してくれる働きがあります。
つまり、ピーリング作用があります。実はこれが肌への刺激が強いのです。
古い角質が剥がれるということは、今まであった肌のバリアがなくなるということです。
そのため、一時的ではあるのですが、肌が乾燥してしまいます。また、古い角質によるバリアが一時的になくなるため、肌が外からの刺激に対して弱くなります。
この「古い角質が剥がれた後の少しの間」を耐え抜くことができれば、肌はフレッシュ化してきれいになります。
しかし、この肌のバリアが弱っている時に刺激を受け、肌に炎症が生じてしまうケースも少なくありません。
そのため、乾燥肌や敏感肌タイプの方はあまり向かない傾向があります。
≪化学的不安定性≫
レチノールは化学的に不安定な物質です。レチノールは紫外線に弱く、紫外線照射によりすぐに壊れてしまう特徴があります。
そのため、レチノール含有の化粧品を肌に塗布した後に、外出をして紫外線に当たると、レチノールは壊れて機能しなくなってしまいます。
また、レチノールは抗酸化作用も持っているため、酸化されやすいです。酸化されると、機能を失ってしまいます。
以上がレチノールの特徴です。
2. バクチオールの作用とは
バクチオールは、レチノールの機能類似体です。つまり、化学的構造は異なっているのに、機能は同様ということです。
また、レチノールが動物性の物質であったのに対して、バクチオールは植物性の物質です。そのため、体に対する副作用がかなり少ないです。その理由は以下です。
レチノールは動物性の、脂溶性物質であるため、水に溶けません。そのため、摂取すれば摂取するだけ体に蓄積されていきます。
そして、ある一定量を超えた段階で「過剰症」として炎症を起こす可能性があります。
一方、バクチオールは植物性の、水溶性物質であるため、体内の水に溶けます。そのため、余分な分は尿として体外に排出されます。
このバクチオールの特徴は以下です。
■植物性の物質である
■レチノールと同様の効果がある
■レチノールに比べて刺激性や副作用は少ない
■化学的に安定している
つまり、レチノールと同様の効果を示し、刺激性や副作用性は少なく、紫外線でもすぐには壊れないという、レチノールの完全上位互換のような物質です。
刺激性が低いため、乾燥肌や敏感肌の方に向いているアンチエイジング物質ですね。
以下は参考文献です。
3. まとめ
海外ではすでに研究結果をもとにしたバクチオール含有化粧品が流行しており、すでにニューヨークの美容ショップ街では棚いっぱいに陳列されているそうです。
やはり、レチノールと同様の効果がある一方で、低刺激性であるという特徴が売りみたいですね。
今回は、アンチエイジング物質として有名な「レチノール」の代わりになる「バクチオール」の有用性について紹介しました。それぞれの特徴は以下です。
【レチノール】
■ピーリング効果
■アンチエイジング効果
■刺激性・副作用あり
【バクチオール】
■ピーリング効果
■アンチエイジング効果
■刺激性・副作用少ない
現段階ではまだ日本での流行は見られませんが、2020年に日本への上陸が決まっているようなので、おそらく来年度から人気が加速し始めることでしょう。
一応、現時点でもすでに取り扱っている店舗は存在するそうです。
イギリス発のスキンケアブランドである「オスキア」の「16セラム」という商品が、バクチオールの化粧品らしいので、もし興味があれば見てみてください。
では、今回は以上です。