今回は「東京科学大学(旧東工大)の共通テストにおける足切り基準テスト」を、学年最下位から東工大に合格した筆者の経験をもとに紹介します。
東京科学大学(旧東工大)を志願する受験生であればご存知かと思いますが、センター試験から共通テストに変わった時に、東工大の足切りボーダーの基準が変わりました。
センター試験時代は、明確な足切り点数が設けられていたので、自らの得点率から受験するかどうかを判断できました。
しかし、現在は相対的に足切りが発生する仕組みに変わったため、受験生自らで足切りボーダーを予想するしかありません。
そこで今回は、足切り基準の仕組みとこれまでの傾向から、旧東工大の足切り予想をどのようにすればよいかを紹介します。

今回の記事はあくまで出願の参考程度に自己責任で読んでね
目次
東京科学大学(旧東工大)では、2020年度までの足切りと2021年度からの足切りで、方式が変わりました。
2020年度までの足切り基準

2020年度までは、センター試験で600点を超えた人は、誰でも本試験を受験することができました。
そのため、どの科目でどの程度の点数をとれば足切りを突破できるのか、逆算がしやすかったです。
ところが、2021年度以降の共通テストでは、上表の足切り基準が変わりました。
2021年度〜2024年度の足切り基準

2021年度から2024年度までの足切りでは、明確なラインがなくなり、以下のルールへと変更になりました。
変更点
全学院の平均志願倍率が4倍を超えた時のみ、倍率を調整するために足切りが発生する
倍率が一定の値になるまで足切る仕組みに変わったことで、共通テストの足切りボーダーが明確ではなくなりました。
ここからは、東工大の足切りボーダーを推測する方法について紹介します。
10年分のデータから法則を推測
以下は、東工大の足切りが明確に600点と定められていた時の過去10年分のデータになります。
各年度ごとに、募集人数・志願者数・受験者数・志望倍率・実質倍率を載せています。

志望倍率
募集人数あたりの願書を出願した人数の倍率
実質倍率
合格者数あたりの二次試験を受けた受験者数の倍率
また、これら10年分の平均値をとったものが、以下の表になります。
募集人数 | 899人 |
志願者数 | 3,967人 |
受験者数 | 3,574人 |
志願倍率 | 4.4倍 |
実質倍率 | 4.0倍 |
上表のうち、志願倍率・実質倍率に着目してください。
願書を出した受験生の倍率(=志願倍率)は4.4であるのに対し、足切りをクリアして二次試験を受けた受験生の倍率(=実質倍率)は4.0となっています。
これは、センター試験で「950点中600点」の足切りを設けることにより、受験者数が4.0倍まで削られたことを意味します。
共通テストの足切り点数を予想
センター試験における950点中600点という足切りは、得点率63%を示しています。
以下の表は、2011年度から2020年度までのセンター試験の平均得点率を表したものになります。

上表より、過去10年分のセンター試験の平均得点率は62.7%であることがわかります。
東工大の足切りボーダーが63%ということから、東工大はセンター試験の平均点を足切りラインと設定することで、倍率を4.0に調整していたことがわかります。
つまり、これまではセンター試験の平均点を足切りとすることで、倍率が4.0倍になるまで自然と受験生が削られていたこということです。
共通テスト2024年度と比較すると
2023年度 | 558点 |
2024年度 | 557点 |
2023年度 | 548点 |
2024年度 | 557点 |
2024年度の東京科学大学(旧東工大)の足切りは557点、2023年度の足切りは558点と言われています。
また、2024年度の共通テストの平均点は557点、2023年度の平均点は548点でした。
そして、2024年度と2023年度の東工大の志望倍率はともに4.5倍となっており、これまでの全体平均である4.4倍とほとんど差がありません。
以上から推測すると、その年度における共通テストの平均点が、東工大の足切りラインとして設けられる可能性が高いです。
共通テストの足切り
その年度における共通テストの平均点が、東工大の足切りラインとして設けられる可能性が高い
平均点の最終決定版は、願書出願の後に出ることが多いですが、途中経過は願書出願以前に出回るので、それらの予想平均点をもとに判断するのもよいでしょう。

あくまで推測程度の内容なので自己責任で判断してください
注意点
上記の推測は、学院全体の倍率が4.4だった時のデータを元にしています。
そのため、もしも大学が人気度が上がり、志願者倍率が大幅に上昇すれば、それに合わせて共通テストのボーダー得点も上がる可能性が高いことに注意してください。
- ほかの大学の受験に活かせる
- 基礎の理解度が確認できる
- 心の余裕が持てるようになる
- 二次試験の対策時間が減る
上記それぞれについて、以下で詳しく説明します。
ほかの大学の受験に活かせる
ポイント
願書提出の際に志望大学を変更しても対応できる
東京科学大学(旧東工大)しか受けるつもりがない受験生は、対策に時間を割かなくてもよいでしょう。
しかし、成績の伸び具合で志望大学を変える可能性がある場合は、共通テストの点数が非常に重要になります。
また、私立を併願する場合、共通テスト利用によって安全かつ楽に試験を突破できるので、できれば得点しておきたいです。
もしこれらのケースに該当するのであれば、終わってから後悔をしないように、しっかりと対策をしておきましょう。
基礎の理解度が確認できる
ポイント
気づいていない苦手な単元や理解が浅い箇所を再発見できる
共通テストは基礎を網羅できる試験です。
もし基礎力がついていなければ、共通テストで高得点をとり続けることは不可能でしょう。
東工大の二次試験は、日本国内の大学レベルの中でもトップレベルで難易度が高いです。
特に理系科目は、基礎だけでなく応用レベルまで身についていなければ、太刀打ちできません。
よく受験生で多いのは、基礎が身についていないのに焦って応用を身につけようとするケース。

このケースに陥って落ちる人が毎年かなり多いので注意!
しかし、応用は基礎がしっかりとできていないと、いくら対策に時間を割いても身につくことはありません。
では、基礎が身についたかどうかを判断する基準はなにか。
それが、共通テストで一定以上の得点をとり続けられるかどうかです。
まずは、共通テストレベルにおいて、少なくとも8割以上を安定してとり続けられる力を身につけましょう。
心の余裕が持てるようになる
ポイント
点数による余裕が出てくると東工大受験に安心して集中できる
共通テスト対策をすると、足切りの突破に加え、後期試験への自信や私立の共通テスト利用など、全落ちのリスクを回避することができます。
合格が確実な大学のストックを1つ持っているかどうかで、東工大受験へのパフォーマンスが思っている以上に変わります。
なんの憂いもなく大本命に集中するために、最低限レベルは共通テスト対策に時間を割くことをおすすめします。
二次対策の時間が減る
ポイント
基礎力のある受験生にとって共通テスト対策は時間の無駄になる
デメリットとしては、すでに確かな実力のある受験生にとっては時間の無駄になる可能性があることです。
東工大受験だけに着目すると、共通テストの点数は二次試験に含まれないため、足切りさえ突破できればあとは不要です。
また、東工大に合格できる力を持つ受験生は、対策に時間をかけなくとも、英語・数学・物理・化学で8〜9割以上をとることに苦労しません。
難化しない限りは、国語と社会の対策をしなくとも、足切りを突破するだけの点数はとれるでしょう。
つまり、東工大に合格できる二次力を持った受験生にとっては、共通テスト対策は徒労に終わる可能性が高いということです。

ただし、これは二次試験に合格できるだけの実力を持っている場合であることに注意!
もし実力に自信がない場合は、以下の記事を確認してみましょう。
東工大を受験する人には、共通テスト対策をした方がいい受験生と、しなくてもよい受験生がいます。
共通テスト対策をした方がいい人
- 志望を変える可能性がある人
- 基礎に少しでも自信がない人
- 自分の苦手単元を知りたい人
- 緊張して点数が下がりがちな人
上記のいずれかに該当する人は、共通テスト対策にある程度時間をかけた方がいいでしょう。
特に、基礎知識や理解力を自身であまり把握できていない人は、共通テスト対策が必須です。
共通テストは理解度が点数に表れる試験なので、鍛える機会としてはもってこいでしょう。
共通テスト対策をしなくていい人
- 共テ模試で9割が安定している人
- 東工大以外は行くつもりがない人
上記に該当する場合は、共通テスト対策に時間をかけるよりも、二次試験への対策に時間をかけるとよいでしょう。
東工大を受験する場合、以下の基準をクリアできているかどうかで、基礎力を判断してみてください。
英語 | 80%以上とれるか |
数学 | 90%以上とれるか |
物理 | 90%以上とれるか |
化学 | 90%以上とれるか |
国語 | 60%以上とれるか |
社会 | 60%以上とれるか |
情報 | 70%以上とれるか |
英語・数学・物理・化学で上記の目安をクリアできていない場合は、まだ十分な基礎土台ができていない可能性があります。
東工大の二次試験は難問ぞろいですが、基礎力がしっかりと身についていれば、合格ボーダー近くまで点数をとることができます。
もちろん、最終的には難問にいかにくらいつけるかで合否が決まりますが、基礎力なくして合格はありません。
共通テスト過去問や、河合塾、駿台の実践問題集を使って、安定して上表をクリアできるかどうかで、基礎力を判断しましょう。
共通テスト形式の実践対策をする場合は、以下の手順で演習を進めてみてください。
共通テスト形式を制限時間内に解いて採点し、先ほどの表の基準をクリアしているか確認する
基準をクリアできなかった場合は、青ペンに持ち替えて時間制限なしで解き直す
青ペンで解いた箇所を合わせても先ほどの表の基準をクリアできなかった場合は、失点が多い範囲を参考書で復習する
解けなかった問題をノートに貼り付けて、自分の言葉で解説を作り、定期的に復習して解けるようにする
もしも英語と数学の共通テスト形式で、まだ十分に点数をとれていない場合は、以下の動画を参考に対策をしてみましょう。