今回は「【これがリアル】東工大の良いところ悪いところ|オープンキャンパス代わりに」について、東工大で学部修士と6年間過ごした筆者が紹介します。
受験中にはなかなかリアルな声が集まらないと思うので、東工大(東京科学大学)志望の受験生は、ぜひオープンキャンパス代わりに読んでみてください。
目次
まずは、東工大(東京科学大学)がどんな特徴を持った大学なのかを簡単に紹介します。
東工大(東京科学大学)の紹介
東工大の歴史などにはあまり興味はないと思うので簡単に触れておくと、本キャンパスが目黒区にある理系に特化した大学です。東工大の所在は「目黒区」と書いてありますが、具体的には「正門の住所が目黒区」なのに対して「正門以外の校内は大田区」に属しています。本キャンパスの最寄駅は東急大井町線の「大岡山駅」です。
下の写真が大岡山駅です
大岡山駅から出ると、東工大がすぐ目の前に現れます。駅を出た瞬間から視界一面に広がる風景は圧巻です。筆者も初めて大岡山周辺の風景を見た時、かなり感動しました。
”これまで写真でしか見たことがなかったガンダムのような建物(百年記念館)がある”。そう思いながら受験会場に向かっていましたね。応援してくれる現役の東工大生や、勧誘のティッシュを配る多くの予備校職員とすれ違ったのは、もはや懐かしい思い出です。
下の写真は大岡山駅から見た東工大です
そして、東工大と言えば「草原スロープ」です。このスロープには一般の方々や子どもたち、日向ぼっこをしている学生など、いろんな生活者が生息しています。
下の写真がスロープです
そして、冬場になるとX(旧Twitter)上で有名になる「大岡山スキー場」です。このスキー場の実態は、上の画像の草原スロープに雪が積もったものです。冬になり雪がある程度積もると、このスロープにスノーボードを持ち込んで滑り始める人たちも出てきます。同時期に、雪で作られた変な創作物もよく出現します。
下の写真が冬場のスロープです
こちらは、東工大の”とある授業”を取った人しか上がれない場所から撮った写真です。皆さんがよく写真で見る「本館の屋上」から撮った風景ですが、緑と街並みが融合するとてもきれいな景色ですね。
下の写真は本館上から見たウッドデッキです
この写真に写っている敷地の面積ですら、東工大の構内全体における数分の一の広さです。なんと、徒歩だと東工大内の移動に15分ほどかかります。それだけいろんな施設が入っており、勉強からスポーツから研究と、満足な環境がそろっているということですね。
大岡山近辺の紹介
東工大に入ると、昼食などで大岡山を出歩くことになるので街にも詳しくなります。その代表例が「大岡山商店街」です。カルディやドトール、学生価格の食事処など、学生が住みやすいさまざまな店舗があるので日々の生活が便利です。
ちなみに、筆者のイチオシはお菓子のまちおかですね。大量に買い込んでお菓子を食べながら見るアニメは最高でした。そして何よりも、大岡山周辺は街の雰囲気が温かく、住むには最適な環境です。街全体が大学と調和しているイメージがわかりやすいでしょう。
下の写真は大岡山商店街です
東工大の昼食で大人気の場所といえば、やはりラーメン屋です。大学を出てすぐの場所にあるので、昼食をがっつりと楽しみたい時には非常に便利です。ちなみに、筆者のイチオシの以下の2つですね。もし受験や下見などで大岡山に行く際には、ぜひ一度行ってみてください。
【麵屋 こころ】東工大生の心のよりどころ
こころは台湾まぜそばのお店ですが、若者が大好きな「濃くてピリ辛で極太麺を使ったボリューミーなまぜそば」が学生に人気です。東工大に入ると必ず一度は行かなければならない、いわゆる必修科目です。
【凌駕】疲れを凌駕する癒しの提供場
凌駕は二郎インスパイア系のラーメン屋ですが、こちらも東工大に入れば必ず行かなければならない必修科目です。二郎インスパイア系なので、量はけっこう多めですが、一度行くと気づいたらハマっています。
受験直後に、東工大の先輩に特盛を食べさせられたのは良い思い出です。これらの他にも、良心的な価格で美味しい食事処はたくさんあるので、是非東工大に入ってから色々と行ってみてください。
ここからは東工大の勉強面や研究面、就職面について、まずは良い面を紹介します。
勉強面
- 最高レベルの勉強環境がある
- 強制度が低く自由度が高い
東工大が理系に特化した大学のため、高度な内容の授業も用意されており、意欲的に学びたい学生にとっては最高の学習環境です。高度な内容と聞くと、テストでも点数が取りづらく、単位がなかなか取得できないイメージがありますが、意外とそんなことはありません。
おそらく、一般的な大学の理系学部と同じくらい、もしかしたらそれ以上に単位が取得しやすいかもしれません。最低限やることをやっていれば意外と自由度が高いので、学生生活も楽しみながら勉学に励むことができます。
研究面
- 研究費用や研究環境も快適
- 1人1テーマ研究を担当できる
理工系最高峰ということもあり、東大ほどではありませんがそれなりに国からの研究費用が出ています。研究にかけられる予算も大きいため、研究機材や研究環境は文句なしです。
また、私立大学や人数の多い大学の場合は、研究室の人数が膨れ上がってしまうため複数人で1つの研究テーマを分担するのですが、東工大の場合は1学年の人数が比較的少なく、研究室の人数も10人程度なので、基本的に1人につき1テーマが与えられます。
そのため、自分のペースで研究を進めることができ、また責任感も生まれるので、研究力もつきやすいです。ちなみに、以下の写真は筆者の研究室時代の実験デスクなのですが、かなり人いスペースを1人で占領できます。
以下の写真は筆者の実験デスクです
写真は実験室のデスクですが、当然それだけではなく居室にも自分専用の広いデスクと専用PCがあるので、研究環境と居室生活の環境はかなり快適です。
就活面
- 企業からの評価は最高レベル
- 就職先は有名な大企業が多い
東工大は理系職であろうと文系職であろうと、就活市場での市場価値が非常に高いので、ブランド面でのアドバンテージは大きいです。一般の人からの知名度は低いですが、社会人市場での知名度は高いのでご安心ください。
例えば、理系職や研究職の場合は東工大の研究レベルの高さを評価してくれ、文系職の場合は理系的素養とレア度の観点で高く評価をしてくれます。そのため、ES(エントリーシート)の段階で切られることはほとんどありません。
ただし、いくら評価が高いとはいえ、油断をすると失敗してしまう場合も当然あるので、気をつけてください。主な就職先は、日系大手企業や有名外資企業が多く、一部ベンチャー企業に就職する学生もいます。
東工大の勉強面や研究面、就職面や世間体について、次は悪い面を紹介します。
勉強面
大学の学習方針がブレる時がある
勉強面の悪いところとしては、学校の学習方針がブレる時がある点です。しばらく前までの東工大は、理工学に特化した研究教育を施す、まさに理工系最高峰の名前と違いない方針で学生教育に取り組んでいたのですが、筆者が本校の学生時代にリベラルアーツなどの文系的な視点での方針が大きく介入してきました。
正直なところ、学生の立場からすると、なぜ従来の東工大が好きだったのに学生側が合わせないといけないんだという気持ちや、研究に注力したいのに方針改正のせいで面倒ごとが増えたという憂鬱など、よく思わない声も少なからずありました。
この頃の筆者も、リベラルアーツへの注力により修士の学生も文系授業単位の取得を強要された時には、なんでやねんと思っていました。
また、直近で言うと東京医科歯科大学との統合にて大学名が変わることなど(東京科学大学への変更)、定期的に学生が困惑しうる変更が起こることもあります。しかし、これらはグローバルな社会情勢に合わせた変更なので、社会に出た時に「あの時の変更はいま思い返すと必要な変更だったな」と実感することができます。
研究面
研究面においては悪い面は特になし
研究室単位での合う合わないなどの違いは多少ありますが、研究面全般においては正直悪い点はほとんどありません。強いていえば、東大よりも研究予算が少ないことでしょうか。どのレベルの研究活動を求めるかにもよりますが、日本の大学の中では間違いなくトップレベルの研究を行うことができる環境ですので、研究面に関しては悪いところはないでしょう。
就活面
就職面においても悪い面は特になし
就職面においても特に悪いところはないですが、強いて言えば東工大生は暗いイメージを持たれているというところですね。職種によってはそのイメージがマイナスに働く可能性もゼロではないので、自分の能力と性格の適正を客観的に見たうえで就職先を選ぶと良いでしょう。
ただ、大学名から連想される暗いイメージだけで落とされることはまずないので、最高評価をいただいている能力面やスキル面などを除けば、最終的にはその人の人間性次第です。
世間体
文系受験生や一般の人からの知名度が低い
理系選択の受験生なら、ある程度は東工大の存在を知っていますが、文系選択の受験生や受験をしていない人からの知名度は正直低いです。美容院などで大学名を伝えると、基本的に「工業系か!鉄骨とか組み立てるのが好きなの?」というような反応をされます。
また、これは筆者の経験なのですが、地元の同級生に「東工大に通っている」ということを伝えた際に「なんでそんなわけの分からない工業大学に通っているの?筑波大に行けばよかったのに!」と言われたこともありました。このように、東工大が知名度が低いですが、実力はたしかなのでそれほど幻滅する必要はないでしょう。
以上が東工大の紹介と実態になります。筆者はこの大学にしか通ったことがないので他の大学での生活と比較することはできませんが、東工大での学生生活は本当に楽しかったです。同期の学生も優しい人が多く、価値観が似ている人も多いので、居心地はすごくいいです。
たまに変な人もいますが、それも魅力のひとつだと思って楽しむと、いい東工大ライフが過ごせると思います。もし東工大を目指したいという受験生は、ぜひ筆者が東工大に合格するまでの勉強の軌跡をご覧ください。