今回は「水素水には本当に効果がないのかどうかについて、エビデンスをもとに科学的に分析した結果」を分かりやすく説明したいと思います。
水素水と言えば、効果がないと言われたり、トンデモ科学と言われたりしていますよね。
水素水に対しての現在の世間の声は以下です。
水素水とかただの水だろ。とりあえず儲けたい企業とかメーカーがそれっぽいことを書いて消費者から金を巻き上げようとしているだけ。あれに引っかかる人の気持ちが分からないわ…
血液クレンジングにしろ水素水にしろ、効果を信じてる人たちバカみたい。芸能人がやってるからって、信じてる人たちを見てると鼻で笑ってしまう(笑)。絶対効果ないに決まってるじゃん(笑)。
このように、世間では科学的原理を把握せずに流れに流されている方が大勢いるので、今回は「水素水には本当に美容や健康効果がないのかどうか」について、科学的に分かりやすく説明したいと思います。
※ちなみに私は信者でもなんでもありません
今回の記事はこんな方にオススメ
・世間では無意味と言われているけど本当はどうなの?
・水素水の科学的な根拠や原理ってどんなものなの?
・どうすれば水素水を効果的なものにできるの?
目次
1. 一般的に言われている水素水の効果
一般的に言われている水素水の効果には、以下があります。
■がん患者の放射線治療による負担軽減
■糖尿病改善
■パーキンソン病改善
■脳梗塞解消
■老化防止
■美肌促進
■健康効果
■ダイエット促進
実に様々な効果があります。
この中でも、「糖尿病改善」と「脳梗塞解消」と「ダイエット促進(正確にはメタボ改善)」に関しては、”①動物実験②人間臨床実験”において改善の結果が報告されています。
詳細は「水素分子の生理作用と水素水による疾患防御」をご覧ください。
また、これ以外でも「がん患者の放射線治療による体への負担軽減」に関しても、水素水は効果的であることが報告されています。
このように、臨床実験レベルでのエビデンスが存在するものもあります。
しかしそれ以外のものは、動物実験レベルあるいは、理論に基づいた推測であるものがほとんどです。
特に、「老化防止」「美肌効果」「健康効果」に関しては、推測の域でしかありません。
では、なぜこのような推測がなされており、世の中に「美容効果」や「アンチエイジング効果」を目的とした商品が出回っているのでしょうか。
実はこの推測は、人間の臨床実験のエビデンスこそないものの、意外と理にかなっているのです。
先ほど水素水の効果に関して、数個ほどは臨床実験での結果も報告されていると書きましたね。
それらに対する水素水の効果は、皆さんご存じの「活性酸素種の除去」です。活性酸素種は非常に酸化力が強く、細胞毒性を持つ有害な物質です。
これの存在により私たちの体は様々な健康を損ねます。
水素水が効果的と言われる理由は、水素が体内で生成されるこの有毒な活性酸素種を、除去する働きを持っているからなのです。
そして、活性酸素種を除去することができれば、たしかに美肌にもダイエットにもアンチエイジングにも、がんの予防にも病気の改善にも、ほぼすべての体に対する健康状態の向上に貢献します。
これはすでに昔から証明されています。
つまり、水素水が本当に活性酸素種を除去することができるのであれば、世に出回っている商品たちは決して「とんでも科学」などではないのです。
では、水素水の活性酸素種への作用を説明する前に、一度活性酸素種についての知見を深めておきましょう。
2. 活性酸素種とは
最近は世の中で「活性酸素」という言葉が流行ってきているため、おそらく皆さん少なくとも一度は耳にしたことがあると思います。
では、活性酸素種の化学的な性質はどのようなものなのでしょうか。
活性酸素種の中でも有名なものを以下に記載します。
■ヒドロキシラジカル()
■スーパーオキシド( )
■一重項酸素( 1O2)
■過酸化水素(
)
他にもたくさんの活性酸素種が存在しますが、今回は本テーマで出てくるものを主に載せました。
一番上に「ヒドロキシラジカル」という活性酸素種が存在していますよね。
実は、水素水中の水素のターゲットはこちらの活性酸素種です。
ヒドロキシラジカルは活性酸素種の中で最も反応性、酸化力が高いと言われています。
そのため、手当たり次第に近くに存在するものを酸化します。タンパク質やDNAや代謝産物、本当に様々です。
まるで男子校を卒業して男女共学の大学に進学した童t…(ここから先は有料会員のみ閲覧可能となります。)
つまり、ヒドロキシラジカルは体にとって最も有害な活性酸素種なのです。
体の不調のほとんどがこのヒドロキシラジカルが根本原因とも言われているほどです。
水素は、このヒドロキシラジカルと反応をして、除去してくれる働きを持っています。これは、すでに科学的に証明されています。
3. 体内のヒドロキシラジカル
では、この有毒なヒドロキシラジカルは、体内でどのように生成されるのでしょうか。
ヒドロキシラジカルが生成される反応には2つあります。
①水に高エネルギーである放射線を照射した時
②二価の鉄イオンと過酸化水素が反応した時
※鉄イオンには二価の鉄イオン(Fe²⁺)と三価の鉄イオン(Fe³⁺)が存在
上記の2つの条件のどちらかによってヒドロキシラジカルは生成されます。
前者は放射線治療等による場合、後者は日々の生活において、体内で起こります。
鉄は、食事やサプリなどにより摂取した瞬間は三価(Fe³⁺)の状態で存在するのですが、この摂取した鉄が十二指腸の腸壁に吸収される際に二価(Fe²⁺)へと変換されます。
これは、二価の状態の鉄イオンでないと、十二指腸の壁を通り抜けることができないことが理由です。
そして、十二指腸で吸収された鉄イオンは三価の状態へと再変換されて、血中へ送られます。
この時、鉄イオンを運ぶ専門の運搬業者(タンパク質)により、血流に乗って全身の各組織へと運ばれます。
そして、各組織の細胞に入ると、再び三価の鉄イオンは二価へと変換されます。
こんなにややこしいことをしているのには理由があり、体内で用いられる鉄イオンはすべて二価の状態なので、使うときは二価、使わないときは変なものと結合しないように三価の状態で存在しているようにしています。
そして、先ほどのヒドロキシラジカルの生成条件でも書きましたが、ヒドロキシラジカルを作ってしまう基となるのは二価の鉄イオンです。
つまり、鉄イオンが二価の状態でいる場所は、常にヒドロキシラジカル発生の危険と隣り合わせなのです。
しかし、まだヒドロキシラジカルの生成条件に必要な「過酸化水素」が存在していないため、今の状態のままだと、ただ細胞内に鉄イオンが存在しているだけです。
では、ヒドロキシラジカル生成に必須である、もう一つの成分「過酸化水素」はどこで生じるのでしょうか。
人間の細胞の中には「ミトコンドリア」と呼ばれる装置が存在します。
このミトコンドリアという装置は、人間が呼吸をして酸素を取り入れるために、必須な存在です。
また、糖質を摂取して、その糖からエネルギーを得る際にも必須です。
つまり、人間が生命を維持するためには、この「ミトコンドリアという細胞内の装置」が必須なのです。
しかし、実はこの「ミトコンドリア」は活性酸素種生成の宝庫でもあります。
その理由は、酸素の授受を行なっているからです(活性酸素種の基は酸素であるため)。
ミトコンドリア内で扱われる酸素は、活性酸素種であるスーパーオキシドになりやすいです。
そして、そのスーパーオキシドはさらに、酵素の働きによって過酸化水素へと変換されます。
つまりミトコンドリアは、活性酸素種である過酸化水素の宝庫なのです。
そして、先ほど血流に乗って細胞に送られてきた二価の鉄イオンは、このミトコンドリアへ送られます。
これでヒドロキシラジカル生成に必須な「二価の鉄イオン」と「過酸化水素」がミトコンドリア内で揃いました。
つまり、ヒドロキシラジカルが発生しやすい場所は、ミトコンドリア内なのです。
そして、ミトコンドリアが多く存在している組織が、「肝臓」「腎臓」「筋肉」「脳」です。
つまり、これらの組織はヒドロキシラジカルの危険にさらされやすい場所であると言えます。
4. 水素水の体内での挙動
では、このミトコンドリア内で発生してしまったヒドロキシラジカルに対して、水素水はどのように機能するのでしょうか。
水素水は経口摂取すると、水素水に含まれる水素が腸内で吸収され、血流にのって全身へ巡ります。
水素は透過性と拡散性が高いため、広がるのは早いです。
しかし、この水素は体内に数十分程度しか滞在せず、その後は摂取した水素量のうちの約60%が呼吸として体外へ排出されます。
つまり、残りの40%程度しか体内に残らないのです(以下参考文献)。
また、ヒドロキシラジカルは非常に反応性が高い反面、寿命が非常に短いです。
バトル系アニメでも、ありえないパワーの攻撃を仕掛けてくる相手はすぐにばてますよね。
それと同じで、ヒドロキシラジカルも酸化力は高い一方で、すぐに壊れます。
つまり、ヒドロキシラジカルを除去するためには、ヒドロキシラジカルが他の何かを酸化攻撃する前に水素による除去を受けなければなりません。
これを実現するには、ヒドロキシラジカルが発生してから水素水を摂取するのでは遅すぎるため、最初から水素が存在している必要があります。
もし先ほど記載した40%の水素が長時間体内に存在しているのであればこれが可能なのですが、もしかしたら呼吸以外の方法で体外に排出されているかもしれません(例えば皮膚など)。そのため、現時点では、効果に確実性はありません。
しかし、効果があったとしても、科学的には何も不思議ではありません。
脳梗塞や放射線治療抑制には効果があると証明されていることも含め。
つまり、水素水は皆さんが思っているほど「とんでも科学」ではないのです。
ですが、水素が体内に長期滞留しているかどうかは、実際現時点で分からないところではあります。
5. 利用を試みるのならこの方法
そのため、もし水素による恩恵を得たいと考えている方がいらっしゃるのでしたら、水素水ではなく、水素風呂の方が効果があると思います。
水素は浸透拡散性が高いため、皮膚からの浸透と、そして水素ガスとして風呂場に存在する水素を吸い込めば、水素水よりは効果があるはずです。
6. 結論
結論は以下です。
■水素水は皆さんが思っているほどの「とんでも科学」ではない
■効果があっても科学的には何も不思議ではない
■ただし、現時点では確実性がないのも事実
■もし利用するのなら水素水よりは水素風呂
以上が今回の結論です。
実際、医者ではなく、研究医や生化学研究者はこの水素水の効果と医療化について将来性と興味を持っているようなので、もしかしたら今後本当に医療化されるかもしれないですね(医者と薬剤師は道具を使う側、研究医と研究者は道具を作る側)。
また、「とんでも科学」と称される、今話題の「血液クレンジング」についての記事も書いていますので、是非どうぞ。
佐藤 誠(id:Luciper) さん
コメントありがとうございます!
最終的な目的としては同じようなものですね!
おそらくイオン水はアルカリイオン水のことだと思いますが、体内をアルカリ化させると、活性酸素種による酸化反応が起こりづらくなるので、結論から言えば活性酸素種からの攻撃を逃れられる、という意味だと思います!
いつもこんな長くて読みづらい記事を読んでいただき、ありがとうございます!!