今回は『院試の面接で聞かれる質問例10選と、質問内容で合否判断する方法』について紹介します。
院試の面接は、基本的に筆記テストの数日後に行なわれます。
そのため、面接時にはすでに筆記テストの採点が終わっているというケースがほとんどです。
そして、合格ライン付近の人や、研究内容の受け答えに自信のない人が主なターゲットとなるでしょう。
そこで今回は、院試の面接で聞かれる質問例10選について紹介したいと思います。
目次
院試面接の質問例10選と質問内容での合否判断
筆記テスト免除の内部生の場合
筆記テスト免除の内部生の場合は、面接はただの茶番です。
相当ひどい態度や、無言を貫く行為などをしない限り、落ちることはほぼありません。
質問例1:研究内容関連の基礎知識(頻出度★★★☆☆)
- 自身の従事している研究内容関連の基礎知識を聞かれる
【例】
- 研究の基礎知識レベルの化合物構造式
- 研究で用いる基礎的な数式の説明
しっかりと正解を答えられなければ落とされるかもしれない、と不安になるかもしれません。
しかし安心してください。
私の知り合いに、大学受験生でも答えられるレベルの質問を答えられなかった筆記免除者がいたのですが、問題なく通りました。
筆記免除者の場合は、よっぽど態度が悪かったり、会話不可能なレベルでない限り基本的には落とされません。
質問例2:自身の研究内容の説明(頻出度★★★★★)
- 研究のイントロダクションや現在の進捗を3分以内で説明
筆記免除者の場合は、院試対策期間中も研究に専念しているケースが多いので、現在の研究の進捗も聞かれることがあります。
研究内容に関しては、イントロダクション程度までは初心者でも分かるくらいかみ砕いて説明できるようにしておくと良いでしょう。
質問例3:大学院での研究ビジョン(頻出度★★★★☆)
- 従事している研究に関して、大学院ではどのようなビジョンを描いているか
【例】
- 今の研究における未解明部分に関してどのようにアプローチしていきたいか
- それを解明すればどのような社会インパクトがあるか
答えられなかったからと言って特に問題はありませんし、社会インパクトを想定するのは難しいです。
そのため、理想論であってもいいので、今の自分が考えられる範囲で答えましょう。
質問例4:雑談
驚きかもしれませんが、筆記試験免除の内部生は雑談が発生することがあります。
形式上の面接という位置づけであるため、面接の時間を消費するために雑談が入ることがあります。
筆記テストも受験する内部生の場合
筆記テストも受験する内部生の場合は、ほとんど外部生と扱いは変わりません。
そのため、内部生だから落ちないだろうなどとは思わず、十分対策したうえで院試に挑みましょう。
質問例1:筆記の受験科目を選んだ理由(頻出度★★☆☆☆)
- 選択受験科目が希望研究室の研究に関する科目でない場合は心配される可能性
受験科目を選ぶことのできる筆記試験の場合、希望研究室に関連する科目以外で受験をしていると、心配されることがあります。
とは言っても、合格ボーダーに達しさえしていれば、特にどの科目を選択していたとしても合否に関係はありません。
質問例2:他の大学院試の受験有無(頻出度★★★★☆)
- 大学院進学の人材流出を懸念する意味
- 落ちた場合の保険があるかどうかの確認
他の大学院を受験しているかどうかを聞かれるパターンには2種類あります。
まず一つ目の『人材の流出の懸念』の場合は、単純に同大学院への進学者が減ることを気にしているだけの意図です。
問題は二つ目の『落ちた場合の保険の確認』です。
こちらの場合の意図は、合格ラインぎりぎり、あるいは合格ラインに達していない人の今後を心配しているケースです。
【筆記テストに自信がある人】
- 他大学院の受験有無の確認は合格を示唆している可能性
【筆記テストに自信がない人】
- 他大学院の受験有無の確認は不合格の可能性を示唆している可能性
質問例3:企業の内定の有無(頻出度★★☆☆☆)
- 落ちた場合の保険があるかどうかの確認
これを聞かれた時は、ある程度覚悟しておいた方が良いかもしれません。
この質問は基本的には不合格の可能性が高い人しか聞かれません。
質問例4:筆記試験のでき具合(頻出度★★★☆☆)
- アイスブレイク的な位置づけの質問である
単純な面接官の興味であったり、本格的に面接に入っていく前のアイスブレイク的な意味であることがほとんどです。
回答の内容で合否が左右されることはほとんどありませんので、素直な所感を話すと良いでしょう。
質問例5:研究内容関連の基礎知識(頻出度★★☆☆☆)
- 自身の従事している研究内容関連の基礎知識を聞かれる
【例】
- 従事している研究に出てくる基礎知識レベルの化合物の構造式
- その研究で用いる基礎的な数式の説明
こちらの質問は、筆記試験免除の内部生は割と聞かれることがありますが、筆記試験を経験した受験生はあまり聞かれません。
筆記試験で基礎知識はすでに確認しているからです。
ただ、聞かれない可能性がゼロとは言えないので、自分の研究関連での基礎知識を一通り確認しておいて損はないでしょう。
質問例6:自身の研究内容の説明(頻出度★★★★★)
- 研究のイントロダクションや現在の進捗を3分以内で説明
筆記試験受験生の場合、6月下旬あたりから研究免除で院試対策をしている人が多いです。
そのため、前任者の論文の中身を確認する程度しか研究を把握できていないでしょう。
イントロダクションまででいいので、初心者でも分かるようにかみ砕いて説明できるようにしておいてください。
また、その研究が解明されたら何に貢献できるのかも把握しておくと、好印象です。
質問例7:大学院での研究ビジョン(頻出度★★★★☆)
※『筆記テスト免除の内部生』の項目の『質問例3』を参照
外部生の場合
筆記試験の場合は内部生よりも外部生の方が不利でしたが、面接に関しては内部生も外部性も変わりません。
ただ、外部生の場合は内部生よりも聞かれる可能性のある質問が3つほど増えます。
質問例1:大学院の志望理由(頻出度★★★★☆)
- 他の大学院が存在する中で、その大学院を選んだ理由
外部生の場合は、その大学の大学院を選んだ理由を聞かれます。
願書を提出する際の志望理由書をベースに質問が飛んでくるので、自身の書いた志望理由書の内容を見返しておきましょう。
質問例2:研究室の志望理由(頻出度★★★★★)
- 似たような研究内容の研究室がある中でその研究室を選んだ理由
志望理由書に書いている人が多いと思うので、自分の研究内容と大学院で従事したい研究内容等を絡めて答えると良いでしょう。
質問例3:今勉強している内容や気になる研究ニュース(頻出度★★★☆☆)
- その人の興味や研究周りのアンテナの広さを探る目的
この質問は基本的にはあまり聞かれませんが、時間が余った時などに聞かれるかもしれません。
その人のアンテナの広さが志望先の研究にマッチしているかどうかを探る目的で聞かれることがあります。
時間があれば、自分で勉強している内容や研究関連のニュースを1つくらい用意しておくと無難でしょう。
質問例4:筆記の受験科目を選んだ理由(頻出度★★★☆☆)
※『筆記テストも受験する内部生』の項目の『質問例1』を参照
質問例5:他の大学院試の受験有無(頻出度★★★★☆)
※『筆記テストも受験する内部生』の項目の『質問例2』を参照
質問例6:企業の内定の有無(頻出度★★☆☆☆)
※『筆記テストも受験する内部生』の項目の『質問例3』を参照
質問例7:筆記試験の出来具合(頻出度★★★☆☆)
※『筆記テストも受験する内部生』の項目の『質問例4』を参照
質問例8:研究内容関連の基礎知識(頻出度★★☆☆☆)
※『筆記テストも受験する内部生』の項目の『質問例5』を参照
質問例9:自身の研究内容の説明(頻出度★★★★★)
※『筆記テストも受験する内部生』の項目の『質問例6』を参照
質問例10:大学院での研究ビジョン(頻出度★★★★★)
- 大学院の希望研究室で従事したい研究やその研究を希望する理由、その研究の解明が何に貢献できるのか
外部生の場合は研究室も研究も変わるので、大学院で従事したい研究の希望や理由、そしてそのビジョンが聞かれます。
志望理由書や研究計画書を一度見返して、その上で回答を考えておきましょう。
院試の面接時の服装・持ち物・面接時間・面接形式
- 服装:スーツ
- 持ち物:受験票・筆記用具
- 面接時間:20~30分
- 面接形式:学生1人と教授3~5人
服装は、特に私服指定がなければスーツが無難でしょう。
ちなみに、筆記テストは私服での受験がほとんどです。
持ち物に関しては、受験票と筆記用具があれば問題ありません。
もしかしたら面接順によっては昼を挟むかもしれないので、昼食も持っていっておくと良いかもしれません。
面接時間は基本的に20~30分で、面接官は3~5人です。
とは言っても、主に質問をしてくる面接官は2人ほどですので、それほど人数が多いからと言って構えなくても良いでしょう。
以上が院試における面接の質問例10選と、質問内容から推測する合格判断です。
質問に対して沈黙にならなければそれほど大きなマイナス評価はされないので、とりあえず何か返すようにしましょう。