過去問対策の時間がない受験生は解かない方が合格率が上がる

今回は「過去問対策をする時間ない受験生は解かない方が合格率があがる」について、学年最下位から東工大に合格した筆者の経験をもとに紹介します。受験間際になると、たった1分ですら貴重な時間となります。もう本番まで時間がないのに、まだ参考書が終わっていないという人も少なくないでしょう。

そんな中で過去問との向き合い方を間違えると、残された時間がさらに減ってしまいかねません。今回は、そんな過去問対策にあまり時間を割けない受験生向けに、効率的な過去問対策の方法を紹介します。

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過去問より先に基礎固めの徹底を優先

なぜ志望大学の過去問よりも基礎固めの徹底を優先した方がよいのか。そこには、過去問の構成過去問演習にかかる時間という2つの理由があります。

1. 過去問の構成

基礎問題40%
標準問題20%
応用問題20%
超応用問題20%

大学の過去問は大まかに上記のような構成をしています。各問題の難易度は大学ごとに異なりますが、このようにレベル分けがされた構成で入試が組まれています。

基礎問題と標準問題については、参考書演習にて基礎がしっかりと身についていれば対応ができるように作られており、応用問題と超応用問題については、参考書でも見たことがないような奇問が選ばれることが多いです。

ここで、基礎問題と標準問題の比率に着目するとおよそ60%となっています。大学にもよりますが、二次試験で60%を取ることができたら合格ボーダーラインとなります。

つまり、しっかりと基礎問題と標準問題を取りきり、応用問題と超応用問題にてなんとか喰らいついて部分点を稼ぐことができれば、十分に合格を狙うことができるということです。

では、基礎〜標準を身につけるのと、応用〜超応用を身につけるのは、どちらがより確実で簡単でしょうか。そうです、圧倒的に基礎〜標準の問題を解けるようにする方です。なので、もし確実に合格可能性を上げたければ、その大学における基礎問題と標準問題をできるようにすることが最優先事項となります。

2. 過去問演習にかかる時間

大学の過去問演習は、たった1年分だけだとしてもそれなりに時間がかかります。例えば、それぞれの要素を以下だと仮定すると、最低でも4時間〜10時間かかることになります。

1教科の時間60〜120分
教科科目数4〜5つ
合計時間4時間〜10時間

これはあくまで解くだけの場合にかかる時間です。ここにさらに答え合わせと解説の確認時間が入るので、結局のところ1〜3日かかることになります。これは、すでに自力で参考書定着や基礎標準固めができている受験生であれば全く問題ありませんが、まだやるべきことが終わっていない受験生からするとけっこうな痛手です。

また、過去問演習の目的はこれまでの参考書演習のそれとは異なり、解法パターンを頭に入れたり、解けるように知識をインプットしたりするものではありません。どのような問題がよく出るのか、どのような公式の組み合わせがよく使われるのか、問題の形式がどのような構成かなど、慣れと若干の推測のために使うものになります。

つまり、その要素さえ取り入れることができれば、必要以上にたくさんの時間をかける必要はないのです。皆さんの場合、この記事を見ているということはそれほど時間が残されていないはずなので、この要素をたくさん演習するという方法以外で獲得しなければなりません。そのための方法が、次の章で紹介する内容になります。

効率的な過去問対策のやり方

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過去問研究で必ずやってほしいことが3つあります。

必須の3要素
  • 問題の形式を把握する
  • 出題単元の傾向を把握する
  • よく出る表現や公式の把握

1. 問題の形式を把握する

  • 各教科の問題に1年分目を通す
  • 教科別に問題の出題形式を把握する

例えば、英語を例にとって紹介すると以下のような内容を確認することになります。

問題数の確認

大問の数とその中の小問の数を把握する

配点割合の確認

大問の配点とその中の小問の配点を把握する

難易度の確認

大問と小問の問題内容を確認し難問の割合とどこが難問となりやすいのかを把握する

時間配分の確認

大問と小問それぞれにかけるべき時間配分とどの順番が解きやすいかを想定する

問題形式の確認

文法問題・英文和訳問題・長文の内容一致問題・和文英訳問題など各出題形式のボリュームを把握する

解くシミュレーション

もしもしっかりと解く時間が取れない場合は解き進める時のシミュレーションをしておく

ここでは英語を例に取りましたが、やることは他の教科でも同様です。もし1年分に目を通すことができた上で時間がすこし余りそうだったら、さらにもう2年分過去にさかのぼって確認をしておくとよいでしょう。この作業はあくまでイメージをつけておく過程なので、時間がない場合はさらっと確認する意識で構いません。

2. 出題単元の傾向を把握する

  • 目次で各年度の出題単元を確認する
  • 実際に各教科の問題文に目を通す

赤本や青本など、大学の過去問には目次がついています。その目次には各年度における出題単元が掲載されているので、以下の項目を意識しながら必ず目を通すようにしてください。

見るべき量5〜10年分の目次
要警戒 ❶3年で出ている単元
要警戒 ❷出題割合が高い単元
絞り込み警戒単元の問題は見ておく

目次の出題単元については、少なくとも5年は見ておくとよいです。10年分まで見ておくと、最近では出なくなった単元や、次に出るかもしれない単元の推測がしやすくなるため、時間があれば10年分ほど見ておくと安心です。

また、直近3年間でずっと出ている単元は出題可能性が高いので要注意です。警戒が必要な単元の問題にはできるだけ目を通しておいて、どんな内容なのかざっくりでもいいので把握するようにしましょう。

3. よく出る表現や公式の把握

  • 問題と解答を見て表現や公式を把握
  • 過去数年分を見て頻出の傾向を探る

こちらに関しては、時間があれば全問題に目を通した方がいいですが、時間がなければ応用問題と超応用問題を中心に目を通してみてください。この目的ですが、できるだけ部分点を稼ぐためにすこしでもいいので山を張っておくためです。

基礎や標準問題はしっかりと土台を固めていれば本番でもある程度対応ができます。しかし、応用や超応用問題はそれ用の対策をしていなければ初見ではなかなか手が出ません。そんな時に、志望大学でよく出る表現パターンや公式の組み合わせ方などが把握できていれば、解くためのきっかけを作りやすくなります。

大学にはそれぞれで好んでよく出す表現や公式の傾向があります。例えば、ある大学は区分求積法やコーシー・シュワルツの不等式など、使いこなすためには原理の理解が欠かせない比較手法をよく問題に絡めて出したりします。

志望大学以外の過去問活用

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志望大の偏差値±3〜4の大学過去問を確認

大学の二次試験は、自身の大学と似たレベルの大学の入試問題を参考にすることがあります。そのため、もしも時間があれば自分の志望大学の偏差値±3~4の大学の過去問にも目を通してみてください。自分の大学と出題傾向が似ている大学を見つけておくと、もしかしたら本番でラッキーに直面できるかもしれません。

過去問の効率的な活用まとめ

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時間がない受験生
  • 過去問対策の目的は特徴把握
  • 解くならそれなりに時間が必要

過去問分析の3要素
  • 問題の形式を把握する
  • 出題単元の傾向を把握する
  • よく出る表現や公式の把握


志望大学の形式や出題単元の傾向、問題のクセなど、その大学の特徴を把握することができれば、合格可能性はグンと上がります。時間がない受験生の場合は、中途半端になってしまうようであれば、ぜひ過去問の特徴分析に効果的に時間を割いてみてください。