【理系決定版】物理の偏差値を30上げる参考書と勉強法

今回は「物理の偏差値を30上げる参考書ルートと勉強法」を、学年最下位から東工大に合格した筆者の経験をもとに紹介します。もしこの記事の内容をこなすことができたら、物理の偏差値が大幅に上がっているはずです。

物理嫌いの人が物理を勉強し始める時、必ず最初にしなければならないことがあります。それは、物理についての概念をざっくりイメージできるようにしておくこと。

マネーキン
マネーキン

物理は他の科目と何が違うのか

では、他の科目と何が違うのか。例えば、数学や英語と比べた場合は、授業やテストを通して触れてきた時間が大幅に異なります。国語や社会、物理以外の理科科目と比べた場合、丸暗記が通用しづらく、かつ目に見えない現象のため理解がしづらいという点で異なります。

つまり、多くの人にとってそもそも物理はとっつきにくい科目なのです。そういう意味では、化学における理論化学の範囲も物理と同様ですね。

これらの内容は、イメージがわかないまま勉強を進めると、丸暗記以外ではなかなか対処ができなくなります。おそらく皆さんも授業を通して同様の悩みを抱えているでしょう。

では、そんな状態からどうやって抜け出せばいいのか。そのためにまずやることが、概念のイメージをつける作業です。

物理の勉強を進める手順

物理の勉強は全体を通して、以下のステップを踏みながら進めると定着がしやすくなります。

基礎の前準備

物理の概念をざっくりイメージできるようにする

基礎の学習

参考書学習にて問題の解法パターンを覚える

基礎の定着

覚えた解法の意味を考えて理解できるようにする

応用力の定着

応用演習にて解法パターンの組み合わせが閃くように訓練する

STEP1の基礎の前準備は、これまでに物理の勉強をある程度してきた人や、学校の授業やテストの対策を怠らなかった人の場合は必要ありません。ただし、これまで物理の勉強をサボってきて苦手意識のある人はSTEP1から固めていきましょう。

物理の参考書ルートと勉強法

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前述の通り、まずは物理の全体的な概念をざっくり程度でもよいのでイメージできるようにしておく必要があります。もしこの過程をおろそかにすると、勉強を進めていく中で理解が行き詰まる段階がやってくることになります。

偏差値30〜45におすすめの参考書

参考書の特徴
  • 会話形式でわかりやすい
  • 物理初心者でもわかる書き方
  • 物理の全体的な概念を学べる


この参考書は、偏差値39の頃のなにも勉強していなかった筆者でも読み進めることができた参考書です。物理初心者でもわかりやすいように、非常に丁寧な語り口調で原理から説明してくれています。

また、イラストやわかりやすい図を用いて解説してくれているため、教科書よりも進めやすいという特徴があります。

さらに、読んで学んだ後に理解度を確認できる簡単な演習問題もついているため、物理初心者が最初に取り組むには非常に適した参考書です。

この物理参考書の進め方

この参考書には「読んで理解するパート」と「解いて定着させるパート」の2つがあります。順番としては、まずは読むパートを集中的に学習して、読むパートがある程度理解できた段階で解くパートを集中的に学習するという流れです。

読むパート
  • 該当単元の最後まで1周分読み進め分からないところは一旦飛ばす
  • 2周目も該当単元の最後まで読み進め分からないところは飛ばす
  • 3周目も該当単元の最後まで読み進め分からないところに付箋を貼る
  • 4周目は該当単元のうち付箋が貼られた箇所のみを読み進める
解くパート
  • 該当単元の問題を解き進め自力で解けた問題に◯を1つつける
  • 2周目も該当単元の問題を解き進め解けた問題に◯を1つつける
  • 3周目以降も該当単元の問題を解き進め解けた問題に◯を1つつける
  • 該当単元の全問題に◯が3つつくまで周回するが3つ◯がついた問題は解かなくてOK

ここまで参考書を使いこなすことができれば、物理の基本概念についてはしっかりと定着するはずです。それだけでなく、簡単な基本問題レベルであれば問題なく解ける実力が身につきます。

偏差値45〜55におすすめの参考書


参考書の特徴
  • 頻出問題が網羅されている
  • 解答が丁寧でわかりやすい
  • 量が適度で進めやすい


この参考書は非常におすすめです。もし解法パターンをしっかりと定着させることができればそれだけで共通テストはもちろん、準難関大学レベルにまで対応ができます。

筆者はこの参考書をやり終えたあたりから物理の成績が急激に伸び始めました。漆原の物理で物理の原理理解が身についたらぜひこちらの参考書に取り組んでみてください。

この物理参考書の進め方

  • 該当単元の問題を解き進め自力で解けた問題にOKをつける
  • 2周目は該当単元のOK問題以外を解き進め解けた問題に◯を1つつける
  • 3周目以降も該当単元のOK問題以外を解き進め解けた問題に◯を1つつける
  • 該当単元の全問題にOKあるいは◯が3つつくまで周回する


もしこの参考書の解答を読んでもあまり理解ができない場合は、もう一度漆原の物理の該当単元を読み返してみてください。読み直して自分なりに解決した上でもう一度問題に戻ってくると、理解ができる瞬間が必ずきます。

もしもここまでやっても解答が理解できない場合は、一旦その解法パターンを覚えて知識として解けるようにしてください。進めているうちに新たな知識が身について、わからなかった問題がわかる瞬間がきます。

到達レベル

ここまでの2冊ができるようになれば共通テスト準難関大学レベルにも対応できるようになる

偏差値55〜60におすすめの参考書

参考書の特徴
  • 解き方の考え方が詳しい
  • 本質理解を促す記述が多い
  • 量が適度で進めやすい


こちらは多くの受験生が使うかなり有名な物理の参考書です。そのため、この参考書から手をつけ始める人も中にはいるのですが、じつはこの参考書は物理中級者向けです。

学習するタイミングを誤るとかえって物理がわからなくなる、すこし扱いの難しい参考書となっています。しかし、基礎が身についた段階で取り組む分には、かなり効果的な参考書です。

なんとなく理解していた物理の本質が明確にわかり、応用力の土台がしっかりと身につく。それがこの参考書の強みです。応用レベルまで身につけなければならない上位の大学志望者にとっての登竜門といってもよいでしょう。

この物理参考書の進め方

  • 該当単元の問題パート以外の単元解説を最後まで読んで理解できるか確認する
  • 該当単元の問題を解き進め自力で解けた問題にOKを1つつける
  • 2周目は該当単元のOK以外の問題を解き進め解けた問題に◯を1つつける
  • 3周目以降も該当単元のOK以外の問題を解き進め解けた問題に◯を1つつける
  • 該当単元の全問題にOK、あるいは◯が3つつくまで周回する

到達レベル

ここまでの3冊ができるようになれば準難関大学から下位の旧帝大レベルまで対応できるようになる

偏差値60〜63におすすめの参考書

参考書の特徴
  • 入試頻出の難問題が豊富
  • 解答がややわかりづらい
  • 旧帝大を目指す人に人気


この参考書は、旧帝大以上を目指す人にはぜひやっていただきたい1冊です。難関大学の入試で頻出の問題が詰められた、まさに名門(めいもん)を目指す受験生のための参考書となっています。

ただ、この参考書には欠点があります。それが、解答のクセがやや強く、人によってはわかりづらく感じるという点。何度も解答を読み込めばわかるようになりますが、すんなりと頭に入ってこない人も中に入るかもしれません。もし進める中で合わないと感じた人は、途中からでも別の参考書に変えるのも一つの手です。

この物理参考書の進め方

  • 該当単元の問題を解き進め自力で解けた問題にOKを1つつける
  • 2周目は該当単元のOK以外の問題を解き進め解けた問題に◯を1つつける
  • 3周目以降も該当単元のOK以外の問題を解き進め解けた問題に◯を1つつける
  • 該当単元の全問題にOK、あるいは◯が3つつくまで周回する

到達レベル

ここまでの4冊ができるようになればほとんどの旧帝大レベルまで対応できるようになる

偏差値63〜70におすすめの参考書

参考書の特徴
  • 非常に難解な問題が豊富
  • 問題量が多く非常に分厚い
  • ピンポイントで演習する


この参考書は超難問が網羅された、物理の参考書の中でも最高ランクの難問題集です。参考書自体が非常に分厚く、正直なところ問題量も常軌を逸しています。間違っても「全部解けるように」なんて考えないようにしてください。

この参考書演習の目的は「志望大学によく出る単元」や「克服したい難問題の例題のみを集中的に学習して効率よく難問題をできるようにすることです。いわゆる、全問演習というよりも辞書的な使い方に近い参考書となります。

これを可能にするためには、まずはご自身の志望大学の出題傾向やよく出る問題の把握が必須なので、まだ物理の過去問分析をしていない人はそちらを優先してください。

使用対象者

難関医学部・東大・京大・東工大・阪大・早慶(先進)理工を志望する受験生は時間があれば過去問対策と並行でやる


物理の単元順とその勉強法

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皆さんもご存知の通り、物理には「力学・熱力学・波動・電磁気・原子」の5つの単元があります。基本的には自分の使っている参考書の通りでよいですが、強いてあげるなら以下の順がおすすめです。この順番の理由についてですが、日常生活からイメージしやすいという観点と、入試での得点源になりやすいという観点で以下の順をおすすめしています。

手順1力学
手順2波動
手順3熱力学
手順4電磁気
手順5原子


この時の注意点ですが、最初からすべての単元を学習しようとせず単元ごとに定着させるように進めてください。例えば、力学であれば力学のみを基礎から標準まで身につけるまで他の単元を学習しない、波動であれば波動のみを基礎から標準まで身につけるまで他の単元を学習しない、というイメージです。

すべての単元を通しで学ぼうとすると量が膨大でなかなか身につかないこと、さらには各単元がそれぞれでやや独立しており、切り分けて学習した方が定着効率を上げられるためです(※微積分を用いる場合は別)。

概念の把握基礎の定着本質の理解応用の練習
力学順番1(漆原の物理)順番2(基礎問題精講)順番11(エッセンス)順番16(名問の森)
波動順番3(漆原の物理)順番4(基礎問題精講)順番12(エッセンス)順番17(名問の森)
熱力学順番5(漆原の物理)順番6(基礎問題精講)順番13(エッセンス)順番18(名問の森)
電磁気順番7(漆原の物理)順番8(基礎問題精講)順番14(エッセンス)順番19(名問の森)
原子順番9(漆原の物理)順番10(基礎問題精講)順番15(エッセンス)順番20(名問の森)
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物理を進める時の注意点

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物理の勉強では、いずれの参考書を解く時でも以下のことを守ってください。

  • 問題を解く時は必ず「自分なりの図」と「途中式」を書くこと
  • 基礎が身につくまでは分からなければすぐに答えを見ること
  • 答えを見てしばらく考えても分からない問題は一旦飛ばすこと
  • テストや模試の直し苦手な単元の把握は必ず毎回すること


ここまでができれば、物理が苦手という状態から物理こそ得点源という状態にまで成長しているでしょう。では、皆さんの成長を楽しみにしています。