今回は「偏差値の低い受験生が第一志望の大学に合格するための勉強法」を、学年最下位から東工大に合格した筆者の経験をもとに紹介します。
なにをすればどれくらい成績が伸びるのか、一連の偏差値の成長過程を見ることで、今後の勉強イメージが明確になるはずです。
目次
大学受験では、受験勉強を始める前の成績が今後どれくらい勉強しなければいけないかを大きく左右します。
では、筆者の場合はどのような学力から東工大受験をしようとしていたか。
中学時代
学校の形態 | 中高一貫私立 |
学校偏差値 | 56 |
学年内順位 | 最下位 |
生活の態度 | 赤点の補習をサボる |
科目関係なく、ほとんどすべてのテストで赤点を取っていました。そのせいか、毎週のように強制参加の補習が設けられたのですが、それすらも逃げて参加していませんでした。
当時の状況
これが続いた結果、中学3年時に教頭室に呼び出され「教頭・担任・親・筆者」の四者面談にて自主退学を推奨されました
高校時代
総合偏差値 | 39 |
勉強の姿勢 | 5分以上勉強できない |
英語の学力 | be動詞がわからない |
数学の学力 | 因数分解ができない |
理科の学力 | 中1レベルがわからない |
国語の学力 | 全く勉強していない |
社会の学力 | 全く勉強していない |
無事に中学から高校へと進学できたものの、中学生の頃のサボり癖が再発し、いっさい勉強をしないまま高校2年の冬を迎えることになります。
当時の状況
筆者は理系選択だったのですが、当時は成績の悪い文系選択者よりも理系科目が苦手でした
成績の悪い受験生が大幅に偏差値を上げてライバルに勝つためには次の2つが欠かせません。
1. 達成時のポジティブなイメージ
達成後のポジティブなイメージを持っているのといないのとでは、成長のスピードが段違いに異なります。
例えば、新しい服を買う時にワクワクするのは、オシャレをした後の輝いている自分の姿をイメージできるからです。
ただ、そう聞くとこう思う人もいるのではないでしょうか。
別に叶えたいポジティブなイメージなんてないんだけど…
この叶えたいポジティブなイメージというのは、自分にとってこうなるといいなと思えることであればなんでもかまいません。
例えば筆者の場合、偏差値の高い大学に合格すれば周りからチヤホヤされるというイメージが、東工大合格の大きな源になりました。
このように、周りから見れば大したことないイメージであったとしても、本人が「こうなると嬉しいな」と感じていればポジティブなイメージは効果を発揮してくれます。
ポイント
これまでの人生を振り返って嬉しかった瞬間を紙に書いていくとポジティブなイメージが見つかりやすいです
2. 勉強を習慣化するきっかけ
成績が悪い人は、頭が悪いわけでもセンスがないわけでもありません。単純に勉強習慣がついていないので、勉強量が少ないだけです。
では、そんな大切な勉強習慣はどうやってつけるのか。そのためには、きっかけづくりが欠かせません。
達成したい目標(例:志望大学への合格)を周りに宣言する
学校の休み時間などあえて周りの目につく場所で勉強する
周りが本気度を疑わなくなるので逃げられない状況ができる
1分でも1問でもいいので必ず達成できる量を家で勉強する
前日達成できた量よりほんの少しでいいので目標量を増やす
たとえ小さな目標でも2ヶ月ほど続けられたら習慣が身につく
この一連の流れが、勉強の習慣化に必要なステップになります。
1つ目の「ポジティブなイメージ」がアメだとすると、2つ目の「勉強を習慣化するきっかけ」はムチになります。
このアメとムチ両方がそろって初めて、成績を大幅に上げるための準備が整います。
アメだけでは失うものがないので続きません。ムチだけでもつらさが増すので結局続きません。この両者のバランスこそが重要なのです。
ここからは、実際に偏差値を30上げた勉強計画について紹介していきます。結論から申し上げると、落ちこぼれの底辺状態から東工大に受かるまで、およそ2年かかりました。
勉強開始から1ヶ月目
やったこと
イスに座って長時間好きなことをする練習
受験勉強を始めたのは高校2年の冬でしたが、この頃まで長時間イスに座って勉強をした経験がありませんでした。
そこで、まずはイスに座ることに慣れるために、長い時間座って好きなことをすることから始めました。
冗談のような話ですが、このようなほんの小さな目標が、後の勉強習慣につながっていきます。
2ヶ月目から5ヶ月目
やったこと
英語と数学を中学1年レベルからやり直す
この2科目は早めに基礎固めをしておかないと後々取り返しがつかなくなります。
そのため、試験で英語と数学を使わない場合を除き、できるだけこの2科目から勉強をし始めてください。
勉強する内容は、自分で弱点を把握しているならその内容から、把握できていないようなら参考書1冊を最初から勉強し始めます。
筆者の場合は、幸か不幸かいっさい基礎ができていなかったので、何の迷いもなく中学レベルからやり直すことにしました。
- 中学の英単語帳
- 中学の英文法参考書
- 学んだ文法で英作文
英語には学習する順番があります。まずは基本的な英単語、これが身についていなければ、勉強をしてもなかなか先に進まなくなります。
中学の基礎的な英単語帳レベルでよいので、まずは初学者用の英単語から身につけてください。
これができれば、英文を読むためのルールブックである英文法の勉強が身につくようになります。
英文法を勉強する時に意識してほしいことが、読むだけで終わるのではなく、学んだ英文法を使って簡単な英作文練習をすること。
せっかく手に入れた武器は、使って慣れることで初めて使いこなせるようになります。
ここまでが、英語学習の超初学者がやることになります。
- 高校の網羅系参考書
- 最初のページから学ぶ
数学に関しては、中学の内容からではなく、高校1年の内容からやり直しました。大学受験で必要な内容は、中学の内容含め基本的に高校1~3年の教材に集約されており、高校の教材でカバーできるためです。
数学の学力に自信のない方は、高校の内容である数学IAから順に、初心者向けの簡単な参考書から始めると基礎を固めやすいです。
この時の勉強時間は英語5時間・数学6時間だったな
6ヶ月目から8ヶ月目
やったこと
物理と化学を最初からやり直す
最初の4ケ月で英語と数学の最低限の知識が身につきました。そのため、英語と数学は忘れない程度に演習する一方で、次は物理と化学に注力しました。
まだ実力がないうちに全科目に勉強時間を分散すると、1科目あたりの勉強時間が減るので、なかなか基礎の土台が身につかなくなります。
基礎というのは木の芽のようなもので、成長するまでは手をかけてあげなければすぐに崩れ去ります。なので、基礎がまだ固まっていないこの時期は、一気に決めた科目を進めていくのが効果的です。
- 初心者の読む系参考書
- 最初のページから学ぶ
理系の場合は物理と化学を選択している人が多いかと思いますが、この2科目に関してはできるだけ自分にとって理解しやすい参考書を使うのがおすすめです。
特に物理と理論化学については、目に見えない現象ゆえになかなかイメージできないことも多く、原理の理解をするのが大変です。
なので、できるだけ簡単で初心者にとって読みやすい参考書を選んであげると、後の勉強が捗りやすくなります。
この時の勉強時間は英語1時間・数学1時間・物理4時間・化学4時間だったな
9ヶ月目から11ヶ月目
やったこと
英語と数学と物理と化学を満遍なく勉強
この時期には、4科目における最低限の基礎(一般的なレベルの共通テスト模試で8割)が身についていました。この頃から、二次試験の対策をし始めます。
本来ならもっと早く二次対策に入った方がよいですが、今までサボってきた分のツケが回り、二次対策がこの時期からのスタートになりました。
二次のような応用はあくまで基礎ができて初めて身につくので、もし対策が遅くなったとしても、できるだけ基礎固めを優先することを心がけてください。基礎固めを優先する理由は後ほど紹介します。
この時の勉強時間は英語3時間・数学4時間・物理2時間・化学2時間だったな
12ヶ月目から13ヶ月目
やったこと
共通テスト対策で国語と地理の勉強開始
この時期には、マーク形式の英数理で安定して8割、調子のいい時は9割を取る力が身についていました。すでに共通テスト(センター試験)直前期、この頃から二次試験にはないサブ科目である国語と地理のマーク対策を始めました。
あくまで得意科目である英数理で点を稼ぎつつ、二次で使わない国語と地理でできるだけ足を引っ張らないように最短で最低限を身につけるという方針です。
この時の勉強時間は英語2時間・数学2時間・物理1時間・化学1時間・国語2時間・地理2時間だったな
13ヶ月目から14ヶ月目
この時期は二次試験直前期、ひたすら東工大の二次対策をしました。ただ二次対策といっても、まだ参考書演習が十分に進んでいなかったため、過去問演習をするというよりも応用の解法パターンを身につける作業をしていました。
本来は参考書演習は11月中までにある程度終わらせているのがベストですが、勉強のし始めが遅かったこともあり、筆者の場合は間に合いませんでした。
もしも筆者のように過去問対策にあまり時間をかけられない場合は、出題傾向と解答のパターン分析に時間をかけると、効率よく過去問対策をすることができるので、最終的な手段として頭に入れておいてください。
この時の勉強時間は英語2時間・数学4時間・物理2時間・化学3時間だったな
センター試験(共通テスト)
総得点 | 675点 / 950点 |
東工大本試験
総得点 | 120点 / 750点 |
英語 | 50点 / 150点 |
数学 | 30点 / 300点 |
物理 | 20点 / 150点 |
化学 | 20点 / 150点 |
私立と後期試験
東京理科大学(筆記) | 不合格 |
東京農工大学(筆記) | 不合格 |
入試本番を迎えた結果、センター試験(共通テスト)では地理と国語が5割とかなり低く、英数理もそれを補えるほど十分に点数を取ることができませんでした。
二次で使わない科目とはいえ、地理と国語でもある程度点を稼ぐことの重要性を実感しました。
また、二次試験に関しては思ったよりも壁が高く、正直受験を舐めていたと落ちて初めて実感しました。
- テスト直しをしていなかった
- 過去問演習の量が少なすぎた
- 基礎が十分固まっていなかった
結果的に浪人をすることになったのですが、現役時代の詰めの甘さと反省点を徹底的に見直し、1年浪人をした末に無事に東工大に合格することができました。
センター試験(共通テスト)
総得点 | 798点 / 950点 |
東工大本試験
総得点 | 398点 / 750点 |
英語 | 100点 / 150点 |
数学 | 110点 / 300点 |
物理 | 88点 / 150点 |
化学 | 100点 / 150点 |
私立と後期試験
早稲田大学 | 合格 |
東京理科大学 | 合格 |
同志社大学 | 合格 |
立命館大学 | 合格 |
青山学院大学 | 合格 |
浪人時代にやったことは、徹底的に基礎を固める、各教科で苦手単元をなくすという何ともつまらない作業です。ただ、その何気ない積み重ねが、全大学合格という安定した学力につながりました。
難関大学を受けるということでどこか疎かにしていた基礎。これが、合否を分けるポイントだったのです。
失敗を通して皆さんに伝えたいことは、難関大を受ける場合や応用力が必要な場合でも、一番大切になるのは基礎の徹底です。これさえできていれば、十分に合格点を狙うことができます。
もし過去の筆者のように今が落ちこぼれだったとしても、まだ可能性は残されているので、ぜひ自分を信じて挑んでみてください。結果がどうであれ、今後の人生の自信になるはずです。