今回は『短期間の独学で偏差値を30上げるための化学の参考書と偏差値ごとの勉強法』について紹介します。
大学受験化学は覚えることも多いうえに、原理を把握していないとなかなか成績が上がりません。
私も化学を学び始めた頃、自分なりに式を立てても全然答えと違うなんてことはざらでした。
そのため、当然成績も最悪でした。
しかし勉強法を見直してみたところ、化学の成績がグンと伸びました。
そこで今回は、自らの経験も踏まえて「化学の偏差値を30上げる勉強法、偏差値別の参考書の活用法」について紹介したいと思います。
大学受験化学の効率的な勉強法
化学は英語や数学とは少し異なった勉強の順序を辿る必要があります。
【数学(英語)の場合】
- 参考書の問題の解法を繰り返し暗記
- 解法パターンの知識が身についてくる
- 徐々にどの解法同士を組み合わせればいいか分かってくる
- この段階で「なぜ」を大切にプロセスを考察していく
- 上記を繰り返すことで応用力が身についてくる
【化学の場合】
- まずは化学についての概念をザっと知っておく
- 参考書の問題の解法を繰り返し暗記
- 解法パターンの知識が身についてくる
- 徐々にどの解法同士を組み合わせればいいか分かってくる
- この段階で「なぜ」を大切にプロセスを考察していく
- 上記を繰り返すことで応用力が身についてくる
数学とは異なり、化学の場合はまず最初に概念の理解をしておく必要があります。
この理由として、数学には多くの公式や解法パターンが存在するのに対し、化学にはあまり多くないことが挙げられます。
数学の場合は公式や解法パターンが多いので、それらをパズルのように組み合わせて解くことができます。
そのため、パズルピースとなる公式や解法パターンを暗記することが大前提となります。
そして数学の場合は、この「公式と解法パターンの暗記」こそが応用力に結びつきます。
一方、化学の場合は公式や解法パターンが少ないので、ただ暗記したところで問題に対応することができません。
例えるなら、化学はパズルピースの形から自分で考えて作り、1枚のパズル絵を完成させないといけない科目ということです。
初めからピースがすべてそろっている数学と、ピースを自分で作らなければならない化学では、アプローチの仕方が異なるのです。
そして、化学においてピースを作るために必要なものが「全体の概念の理解」です。
これがなければ、いくら訳も分からず問題演習したところで立ち止まってしまいます。
化学を勉強するときは、ボヤっとでもいいので全体的な概念を頭に入れている状態にしておくことが大切です。
偏差値ごとの化学の参考書の演習方法
ここでは、皆さんの偏差値に合わせた化学の参考書とその演習方法について紹介したいと思います。
全体的な概念を学べる参考書(偏差値30~45)
【参考書の特徴】
- 原理や背景を理解するための読むパート
- 読むパートに対応した問題を解くパート
この参考書ほど概念を理解できる分かりやすい参考書はないと思います。
式の立て方や原理など背景的な理解もできる上に、簡単な関連問題も載せてくれているので、「概念の理解+簡単な演習」もできます。
この一冊だけで最低限の化学への理解と、最低限の問題解答力は身につくでしょう。
センター試験(共通テスト)でいうと70点台ほどまでは取ることができます。
この参考書の勉強法
【読むパート】
- まずは全体感をつかむために最後まで1周読む(不明点は付箋をつけて飛ばす)
- 2周目に入り、もう一度全体を最後まで読む
- 3周目も同様に、最後まで通して読む
- 付箋をつけた箇所を集中的に読む(それでも分からなければ一度放置)
【解くパート】
- 参考書の問題を1周分解く(自力で解けた問題に〇を1個つける)
- 2周目も1周目と同様に演習(自力で解けた問題に〇を1個つける)
- 3周目以降も同様(〇が3個ついた問題はもう解かなくてOK)
※1週目の時は分からない問題はすぐに答えを見る
上記通り行なえば、化学の基本的な概念に関してはある程度理解できているはずです。
また、基礎的な問題に関してもそこそこ解けるレベルまで上達しているでしょう。
この参考書を学習するべき人
- センター試験(共通テスト)で化学を使用する人
基礎問題を網羅する参考書 (偏差値45~52)
【参考書の特徴】
- 基礎知識や基礎問題が網羅できる
- 説明文や解答が教科書的という欠点あり
この参考書は、教科書と問題集が合体したような参考書です。
基本的な知識や説明が載っているだけでなく、基礎的な問題も一緒に載っています。
ただ説明が教科書的なので、もし読んでいて分からなくなったら最初の参考書に立ち返るといいでしょう。
この参考書の勉強法
演習方法に関しては先ほどの参考書の解くパートと同様です。
この参考書を学習するべき人
- センター試験(共通テスト)で化学を使用する人
- 中堅私立大学を志望している人
少し応用~応用の参考書(偏差値52~62)
【参考書の特徴】
- 基礎から応用までの問題を網羅している参考書
- 最初に取りかかる参考書としては難易度が高い
化学と言えばこの参考書とも言えるほど皆が愛用しています。
ただ、最初に取りかかる参考書としては難易度が高すぎるので、先に紹介した2冊をクリアしてから取りかかると良いでしょう。
この参考書の勉強法
- ある単元の「A問題・必」
- ある単元の「A問題・準」
- ある単元の「B問題・必」
- ある単元の「B問題・準」
重要問題集にはA問題とB問題があり、さらにその中でも「必須問題」と「準必須問題」に分かれています。
上記の順で演習すると良いでしょう。
演習方法は今までの参考書の解くパートと同様です。
この参考書を学習するべき人
- 中堅国公立大学~旧帝大を目指す人
【中堅国公立大学を目指す人】
- I.とII.の問題のうちの6~7割以上は解ける状態を目指す
【上位の中堅大学を目指す人】
- I.とII.の問題のうちの8割以上は解ける状態を目指す
【旧帝大を目指す人】
- I.とII.とIII.の問題のうちの7.5割以上は解ける状態を目指す
応用の参考書(偏差値57~70)
【参考書の特徴】
- 基礎的な内容から超応用の内容まで網羅している参考書
- 解く用の参考書ではないため辞書的な使い方がメイン
この参考書は、全部を読んだり、問題を解いたりする用の参考書ではありません。
簡単な内容から、超応用内容まで、大学受験の化学すべてを網羅している参考書になります。
大学入学後に習うような原理の説明まで載せられているので、この参考書は辞書的な活用の仕方をしましょう。
化学に関するすべてが載っているため、分からないことや調べなければならないことをすぐに見つけることができます。
そのため、1冊持っておくとかなり便利です。
ちなみに、この参考書は大学に入った後でも利用できます。
この参考書を学習するべき人
- 上位中堅大学~超難関大学(国公立医学部・東大・京大等)を志望する人
超応用の参考書(偏差値62~70)
【参考書の特徴】
- 標準~超応用問題が網羅されている
- 有機化学の問題が豊富な参考書
先ほどの「新研究」の著者が出している問題集です。
そのため、かなり難易度が高くなっています。
この新演習問題集は有機化学の問題が豊富です。
二次試験の有機化学の単元を得点源にしたいと考えている方は一度は演習しておくと良いでしょう。
この参考書の勉強法
難易度★1~★3の問題がある
★1:地方国公立大学レベル
★2:中堅~旧帝大レベル
★3:超難関大学レベル
演習方法は今までの参考書と同様です。
★1~★2の問題は重要問題集と被る問題もあるため、重要問題集を演習した人は飛ばしても構いません。
この参考書を学習するべき人
- 国公立医学部・東大・京大・東工大・阪大・早慶理工を志望している人
- ★1~★3のすべての問題のうち65%以上は解ける状態を目指す
大学受験化学の単元ごとの勉強順
- 化学基礎
- 理論化学
- 無機化学
- 有機化学
- 高分子化合物
化学の勉強方法に関してですが、最初から全単元を学習しようとしないでください。
最初に全部触れたところで、2周目の段階でどうせすべて忘れてしまいます。
上記の単元順で、「全体概念・基礎」⇒「少し応用・応用」のペアで学習してください。
例えば、以下のような組み合わせと順番で演習してください。
- 「化学基礎」の全体的な概念の把握
- 「化学基礎」の基礎演習
- 「理論化学」の全体的な概念の把握
- 「理論化学」の基礎演習・・・・
- 「化学基礎」の少し応用演習
- 「理論化学」の少し応用演習・・・・
- 「化学基礎」の応用演習
- 「理論化学」の応用演習・・・・
このように、単元ごとと難易度ごとに順位付けをして、まとめて演習をしてみてください。
自分で勉強優先順位がつけられない人は、上記の順通りそのまま演習してください。
大学受験化学を勉強する際の注意点
- 分からなければすぐに答えを見る
- 何度か考えて分からなければ一度飛ばす
- 問題は必ず〇が3個つくまで繰り返し解く
- テスト直しは必ずする
上記のことは守ってください。
上記を怠ると、化学の成績の伸び率が大幅に低下する恐れがあります。
是非上記のことを意識しながら、今回紹介した参考書の問題演習に入ってみてください。