今回は「有名大食いYouTuberの”もえのあずき”さんや”木下ゆうか”さんや”ギャル曽根”さんが、どうしてあれほど大食いをすることができるのか」について科学的に説明したいと思います。
もえのあずきさん、木下ゆうかさんと言えば、とても人間が1人で食べきることのできないような量の料理を、苦しい顔一つせずに最後まで食べきることで有名ですよね。
もえのあずきさんのこちらの動画は、おそらく皆さんが大好きな「二郎系ラーメン」の大食いチャレンジをする内容となっています。見てくださいこの特大な二郎系ラーメン…。
全増しで嘆いている私たちがもはや滑稽に思えてくるような量ですよね…。この量を、こんなにも細い女性が食べるのですから、本当に驚きです。
木下ゆうかさんのこちらの動画は、なんと10000kcalもある特大チキンラーメンの大食いチャレンジをする内容となっています。
10000kcalなんて、一般の女性の5日分の摂取カロリーですよ…。
見てくださいこの器の大きさ。もはや木下ゆうかさん本人がこのラーメンの中に入れそうですよね。こんな量のものを食べきった時にはもう、胃の中が大乱闘です。
【大食い×バター】チキンラーメンアクマのバタコにバター400g(2箱)が参戦で最強バタコに!更にごはん参戦で[1万キロカロリー大乱闘スマッシュデビルバタコ]12人前[10000kcal]【木下ゆうか】
では、なぜ彼女たちのような、スタイルも良くて小柄な女性がこれほどの量のものを食べることができるのでしょうか。
通常の人間なら、1/5にも到達しないところでお腹がいっぱいになり、気持ち悪くなりますよね。
なぜ彼女たちは気持ち悪くならず、これだけ多くの量を一気に食べることができるのでしょうか。
彼女たちの満腹中枢は一体どうなっているのでしょうか。
今回は、なぜもえのあずきさんや木下ゆうかさんがこれほどまでに食べることができ、なぜ気持ち悪くならないかについて、科学的に説明したいと思います。
今回の記事はこんな方にオススメ
・大食いに関係する遺伝子って何?太りやすさにも関係するの?
・どうしてフードファイターはあんなに大食いができるの?
・なぜもえのあずきや木下ゆうかは気持ち悪くならないの?
目次
1. 大食いを可能にする遺伝子とは
実は、もえのあずきさんや木下ゆうかさんが気持ち悪くなることなく、大食いができるのには理由があります。その理由というのが「ある遺伝子の存在」です。
では、その「ある遺伝子」とはいったい何なのでしょうか。その前に、人間の満腹感のメカニズムについて復習しておきましょう。
人間の満腹感とは
人間が食べ物を食べて満腹感を感じる際は、この「満腹ゲージ」というものが関係してきます。
満腹ゲージがMaxまで溜まると、「満腹信号」というものが脳から送られ、私たちは満腹感を感じます。
この満腹信号により指令を受けるものが、皆さんのよく知る「満腹中枢」です。
そして、満腹中枢が「もう満腹ゲージがMaxだよ」という指令を受けると、人間はお腹いっぱいで気持ち悪い感覚を得ます。
実は、この「満腹中枢」にはある決まった段階反応があり、その段階反応に関与する「ある遺伝子」が、今回の「大食いが可能かどうか」に関係してきます。
また、この遺伝子は「太りやすい人と太りにくい人の特徴」にも関与してきます。
その遺伝子の名前は「MC4R」です。このMC4Rには色んな種類があり、そのたくさんある種類のうちの、特定の種類のMC4Rを持つ人間は太りにくいと言われています。
また、逆に太りやすい種類のMC4Rを持つ人も存在します。
では、なぜ同じMC4Rという遺伝子にもたくさん種類が存在するのでしょうか。これには「遺伝子の構成」が関係しています。
遺伝子の構成
人間にはゲノムDNAというものが存在します。
そして、そのゲノムDNAは「アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)」という4種類の物質で構成されています。
もし人間のゲノムDNAの長さが4文字分であるとすると、ゲノムDNAの種類は4種類の4乗=256通り存在します。
たかだか4文字と仮定しても、こんなにたくさんの種類が存在します。
実際の人間のゲノムDNAは30億文字で構成されているので、ゲノムDNAはもう無限と言っていいほどの種類が存在します。
そのため、人間は70億人もいたとしても、誰一人として同じ人はいないのです。
そしてこのゲノムDNAの中には「遺伝子」と呼ばれる領域が存在します。
遺伝子はゲノムDNAの中に存在しているので、遺伝子もゲノムDNAと同様に4種類の文字で構成されています。
そして、遺伝子の配列がある程度同じであれば、それは同じ遺伝子である可能性が高いです。
これが、同じ遺伝子でもたくさん種類が存在する(文字の配列が全く一緒ではないため)のです。
例)
AAAAという遺伝子をa遺伝子とすると、AACAもa遺伝子。
遺伝子は同じであるが、文字の配列が少し違う。
この文字の少しの違いが、a遺伝子の働きの違い。
また、タンパク質は遺伝子をもとに作られます。
これはどういうことかというと、遺伝子aからはタンパク質aが、遺伝子bからはタンパク質bが、遺伝子cからはタンパク質cが作られるということです。
先ほど「遺伝子の働き」と書きましたが、実際に働くのは「遺伝子をもとに作られたタンパク質」です。
なぜ大食いが可能なの?
人間が満腹感を感じるまでには、上図のような一連の反応が起きます。
①満腹ホルモンが、今回のテーマである「MC4Rタンパク質」にはまる
②その結果、満腹ホルモンにより「MC4R」が活性化
③活性化された「MC4R」がスイッチOFF状態の青顔文字を刺激
④青顔文字が活性化され、スイッチON状態の黄色顔文字になる
⑤活性化された黄色顔文字が、脳に「満腹だよ」というメッセージ
⑥満腹感を感じる
これが一連の「満腹を感じるまでの反応」です。では、大食いができる人と大食いができない人の差は何なのでしょうか。
その差は「MC4R遺伝子の種類の違い」です。詳しくは以下です。
【タイプAのMC4Rを持つ人の場合】
タイプAのMC4Rは常にスイッチがON状態であるため、常に満腹感がある。
そのため、それほど食事の量が多くない。
これがいわゆる「少食タイプの人間」である。
【タイプBのMC4Rを持つ人の場合】
タイプBのMC4Rは常にスイッチがOFF状態であるため、常に空腹感があり、なおかつ満腹を感じることがない。
そのため、いくらでも食べることが可能である。
これがいわゆる「大食いタイプの人間」である。
【タイプCのMC4Rを持つ人の場合】
タイプCのMC4Rは、ある一定の量を食べれば「満腹ホルモン」により「MC4R」が活性化され、満腹感を感じる。
ある一定の量に達するまでは空腹を感じる。これが「通常の人間」である。
2. 大食いフードファイトは命の危機と隣り合わせ?
大食いフードファイターは、常に危機と隣り合わせです。そもそも、人間はなぜ「満腹感」を感じるのでしょうか。
その答えは、「満腹感を感じる量が人間にとっての適量だから」です。つまり、それより多くても少なくてもよろしくないのです。
多少少なかったり多かったりする分には、痩せたり太ったりする程度で済むでしょうが、この「大食い」のようなレベルの食事量だと、人体に影響してきます。
一度にこれだけの量を消化し、吸収しようとすると、代謝機能が壊れます。そのため、消化吸収しようとする前に、許容量まで減らさなければなりません。
大食いのフードファイターの方々が揃いも揃って吐いているのは、これを避けるために吐いているあるいは、体が量に対して拒絶しているからです。
もしこの量の食事がすべて体内に残っているとしたら、早死にしてしまうことでしょう。
3. 太る人と太らない人の違い
先ほど少し説明したのですが、MC4Rの種類によって「満腹感」を感じやすいか感じにくいかが決まります。
少しの食事でも満腹感を感じるMC4Rタイプを持つ人は、痩せ型である傾向が高いです。
一方、かなり食べてもあまり満腹感を感じられないMC4Rタイプを持つ人は、肥満型である傾向が高いです。
もちろん、大食いユーチューバーのように吸収される前に体外に出すのであれば、肥満にはなりません。
しかし、体外に出さずにそのまま吸収されれば、その分だけ太りやすくなります。
これが「太りやすい人」と「太りにくい人」の遺伝的な差です。
そして、この「太りやすさ」に最も関与していると考えられている遺伝子がこのMC4Rであるという報告はすでになされています。
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(19)30345-9
4. まとめ
通常の人間はある程度の食事量で気持ち悪くなってしまうのに対して、もえのあずきさんや木下ゆうかさんが気持ち悪くならずに大食いを続けられる理由は「MC4R」という遺伝子のタイプのおかげなのです。
うらやましいような、うらやましくないような、なんとも言えない遺伝子ですね。ですが、人生で一度でいいからあれだけ気持ちよく大食いをしてみたいものですね!
私も二郎ラーメンの全増しを余裕の顔でスープまで飲み干して、すっきりした気持ちになりたいものです(笑)。
以上が、「もえのあずきさんや木下ゆうかさんのような大食いファイターが、大食いできる理由」です。