今回は、「勉強が苦手な子供の成績を大幅に伸ばす教育術」について紹介したいと思います。
塾の講師をしている方、子供の小学校受験や中学受験を控えた親御さんは是非ご覧ください。
- 子供との勉強中の距離感や関係性の築き方
- 子供の成績を上げるための勉強教育方法
マネー金
目次
筆者の経歴と生徒の成績向上実績の紹介
まず最初に、『私の略歴』と『生徒の成績の向上結果』ついて簡単に紹介したいと思います。
筆者の略歴
- 高校二年の冬まで全科目偏差値39
- 短期間の独学で偏差値を30上げる
- 理工系最難関『東京工業大学(東工大)』に合格
- 大学時は有名大手予備校で浪人生に集団授業
- 大学院時に個別指導塾で成績が悪い生徒に個別授業
私自身も学年一の落ちこぼれだったこともあり、勉強が嫌いな子や勉強が苦手な子の気持ちはものすごくわかります。
自分が苦労したポイントや心構えを踏まえた上で生徒に授業をしたところ、受け持った生徒は短期間で成績が大幅にアップしました。
生徒の成長実績の例
【例】
- 数学の偏差値が32だった高3の女の子が、5か月でセンター試験(共通テスト)の数学で9割を取るほどに成長
⇒ 後に慶応大学に合格
- 勉強どころかイスに座ることが苦手だった中学生の男の子が、定期テストで高得点連発者にまで成長
≪環境編≫子供の成績を上げるための教育術
【NGな勉強教育】
- 無理やり勉強させる
- ご褒美を設ける
- 詰め込み学習させる
長期的にその子の将来を考えてあげるのであれば、上記の方法はあまり良い方法とは言えません。
では、子供の成績を大幅に上昇させるにはどうすればいいのでしょうか。
親の役割は子供の勉強環境作り
- 子供が進んで勉強しようと思う環境を作ることが親(講師)の最初の仕事
子供に勉強を教える際、おそらく皆さんはまず教科書や参考書を開きますよね。
そして、「じゃあまずこの問題を少し自分で考えてみて、わからなかったら言ってね。」と伝えると思います。
たしかに目的は子供に勉強を教えることなので、間違いではありません。
しかし、まだその段階ではありません
「はいじゃあやってみて」と言って勝手に解いてくれ、分からない点を自分から質問してくる子供は勉強で遅れをとることはありません。
勉強ができない子供は頭が悪いのではなく、できないなりのちゃんとした理由があります。
それを理解してあげ、そのできない理由を解消してあげるのが親の役目です。
そして、勉強が苦手な子というのは、そもそも勉強を進んでする環境に慣れていない子がほとんどです。
つまりこの場合、子供が勉強を進んで行なおうと思える環境を作ってあげることが親の最初の仕事です。
子供が進んで勉強をしだす環境
- 子供が進んで勉強をしだす環境とは、親子の関係性が良好な環境
子供が勉強を進んで行なう環境には以下の3つがあります。
上記の3つそれぞれに利点と欠点が存在します。
どれが正しいのかは時と場合によって異なってきますし、教育側の価値観によってもどちらを起用したいか変わってきます。
ただし、それは『その時の成績を上げることにフォーカスした場合』のみです。
1、2の場合は、即効性があり効果もあるのですが、その子の将来と後の成績の伸び率を考慮するとオススメできません。
成長曲線も、上記のように途中で逆転します。
そのため今回のケースであれば、子供との関係構築を最優先にしてください。
最初は勉強を教えず雑談すべし
- 子供の勉強へのやる気は『授業開始前の雑談』が非常に重要になってくる
私は勉強が苦手な子を受け持ったとき、最初の1ケ月間は、講義90分のうちの60分は雑談をしていました。
これだけ聞くと「しっかり働けよ!」と思うかもしれませんが、実はこの『勉強開始前の生徒や子供との雑談』がかなり重要なのです。
【例:初めて参加する会議】
初めて参加する会議で聞いたこともない話をされた後に、「何か質問ある?」と聞かれたとします。
その時、あなたならどう答えますか?
おそらく、質問があっても「いえ、特にないです…」と答えてしまう人も少なくないでしょう。
これは子供や生徒に勉強を教える時も同様で、意見を躊躇してしまう相手、親しくない相手には自分の意見を発しにくいのです。
そして、この意見を発しにくい問題を解消してくれるものが『雑談』です。
この時、ただ永遠と雑談だけしているだけだと本当にただの雑談回で終わってしまいます。
そのため、以下のような方法を利用しましょう。
【授業開始前の雑談方法】
- まずはお互いに勉強できる準備をするため、椅子に座る
- 本日勉強する教科書や参考書の単元を開く
- 「じゃあ始めよっか!」と一言
- ここで、勉強を始めずに敢えて雑談を開始
- 勉強時間の2/3ほどを雑談に充てる
- 「あと少ししか時間がないから始めよっか!」と一言
- 実際に勉強開始
ここで重要なのは②、③、④、⑥です。
何も準備せずにただ雑談だけすると、子供や生徒は「これから勉強が始まる」という脳になりません。
そのため、本当にただの雑談になってしまいます。
しかし最初に勉強する参考書を開いて、勉強開始の合図をすることで、子供や生徒は「これから勉強が始まる」と意識します。
そして、この段階では子供や生徒は「あぁ、嫌だな」と気持ちが沈んでいます。
しかし、ここで予想外の雑談がスタートすると、子供や生徒はラッキーと思います。
そして、雑談が長引けば長引くほど勉強時間を削れるので、子供や生徒は何とかして会話を続けようとしてくれます。
その結果、こちらの質問や雑談にも答えてくれるようになります。
これがこちらの狙いです。
相手は勉強時間を削ることを目的としているのに対して、こちらは相手との関係を構築することが目的なので、見事にWin-Winな形になります。
そして雑談が終了した後、時間は残り僅かなので、子供や生徒は「あと少しで終わるラッキー」と思います。
勉強が苦手な子は、長時間勉強をすることが苦手な子が多いですが、短時間なら集中できるという子が非常に多いです。
じゃあ初めから勉強時間を短くすればいいんじゃないの?と思うかもしれません。
しかし、それでは意味がありません
この方法の強みは「本来90分あったはずの勉強時間を60分削ることができた」というところに子供や生徒が魅力を感じる点です。
そのため、初めから勉強時間を削ると、またそこから2/3を雑談に割り当てる必要が出てきます。
一ケ月近く続けてみてください。
かなり子供や生徒と打ち解けることができ、相手も意見を言ってくれるようになります。
≪勉強編≫子供や生徒の成績を上げるための教育術
ここでは実際の勉強の教え方について紹介します。
最初の1ケ月目
- 問題を解かせる
- 子供や生徒の手が止まった段階ですぐに解説
- この時、「ここは皆つまるところだから大丈夫!」など、安心させる言葉を入れる
- 解説する際は、質問形式で解説する
- この時、子供や生徒がこたえられるレベルの質問まで落とし込んで質問すること
おそらく最初の1ケ月は、何を解かせても知識がなさ過ぎて解けません。
そのため、考えさせるだけ時間がもったいないので、手が止まった瞬間に解説に入りましょう。
この時重要なのが「安心させる言葉を入れること」です。
問題を解けなかった時、子供や生徒は教える側の目が気になっています。
子供や生徒は「こんなのも解けないのかって思われてそう…」「これ解けないと怒られるんじゃ…」などと考えてしまうのです。
そのため、今はまだできなくても仕方がないこと、できないことが恥ずかしくないことを示してあげましょう。
また、解説をする際に、一方的にこちら側が解説をしてしまうと子供や生徒がちゃんと理解しているのかどうか把握できません。
そのため、質問形式で解説をしてください。
【例】
- 『ここはy=2x+3だからxに2を入れるとyはいくらになると思う?』など
もし答えられないようであれば、答えられるレベルまでかみ砕いて質問をしてください。
この場合だと、めんどくさいかもしれませんが目盛り付きのグラフを書いて、直線のx=2のところのyの値を視覚的に把握させるなどですね。
そして、答えられた際には、どんなに簡単な質問であろうと、褒めてあげてください。
最初の方は、子供や生徒は「まあこんな簡単なレベルまで下げてもらったら流石に…」のような反応をしますが、繰り返し継続しているうちに、自信を持ち始めるようになります。
2ケ月目以降
- 問題を解かせる
- 手が止まっていたら、今の子供の解答の考えと分からない箇所を詳細に聞く
- 子供や生徒の解答の考え方を尊重したうえで、正しい解答を説明する
- 解説する際は質問形式で行なう
- 解説が終わった後に、子供や生徒と教育者側の役を交換して、その問題を解説させる
2ケ月目以降になってくると、ある程度関係が構築されています。
そのため、問題の解法の子供なりの考えや、どこでつまずいているかを詳細に聞いてください。
そしてここが重要なのですが、どんなに間違っていたとしても、相手の考えを尊重したうえで訂正してください。
「なかなか面白い発想だね」「たしかにそういう考え方もありかもしれないな、よく思いついたね!でも今回のケースだと少しだけ違うかも!」など。
2ケ月目以降は⑤が非常に重要になってきます。
質問形式で解説をすると、部分部分では質問できますが、問題の全体の流れは質問できません。
部分部分で理解できていたとしても、問題全体の流れを把握できていないのであればあまり意味がありません。
そのため、解説が終わった後は、教育者側が生徒役になり、子供や生徒が教師役になって解説をしてもらいます。
これにより、生徒が全体把握をできているかどうかもチェックできますし、もし最初から最後までしっかり説明できたのであれば、かなり子供や生徒にとっての自信になります。
上記を継続して行なっているうちに、生徒との関係性も、さらには理解力もかなり向上してきます。
これらの行動ができれば、子供や生徒は進んで勉強をし始め、自分で思考をして成長ができるようになります。
時間はかかるかもしれませんが、将来的には絶対に役に立つので、是非実行してみてください。