今回は『市販の化粧水では美肌菌は増えない|本当に美肌菌を増やす4つの方法』について科学的に紹介します。
一時、テレビで話題になっていた美肌菌ですが、今後の美容を左右するほどの存在と紹介されていました。
しかし、今までの美容とは異なり、美肌菌は市販の化粧水ではほとんど増えません。
そこで今回は、美肌菌の美容効果や、本当の増やし方について紹介したいと思います。
目次
美肌菌で得られる美肌効果
(図:美肌菌の正体)
人間の肌にいる菌の種類
- 『美肌菌』『黄色ブドウ球菌』『アクネ菌』が有名
美肌菌は、『表皮ブドウ球菌』と呼ばれている菌です。
美肌菌と似たものに、『黄色ブドウ球菌』という菌がいて、こちらは”肌の悪玉菌”として有名です。
人間の肌では、たくさんの種類の細菌が共生しています。
その中には、肌にいい働きをする『善玉菌』もいれば、悪い働きをする『悪玉菌』、中立な立場の『日和見菌』という菌もいます。
美肌菌の肌に対する働き
≪良い働き≫
- 肌の防御力と保湿力アップ
- 肌の悪玉菌を倒してニキビ防止
美肌菌は、皮脂や汗のような、ニキビのもとになる物質を分解して、『脂肪酸』と『グリセリン』を作ります。
皮脂は油なので肌に悪いのですが、脂肪酸は名前のイメージとは異なり、酸の力で肌の悪玉菌を倒してくれるので、美肌の味方です。
肌の善玉菌は酸性に強いので、脂肪酸が肌にあっても問題ないのですが、肌の悪玉菌は酸性に弱いため、脂肪酸で苦しみます。
また、脂肪酸と一緒に作られた『グリセリン』は、保湿性が高い物質なので、肌の保湿機能がアップして美肌につながります。
≪悪い働き≫
- 体内に入りこむと有毒な物質を作る
- 肌に傷口があると皮膚病の原因になる
美肌菌である表皮ブドウ球菌は、傷口などから体内に入ると、『バイオフィルム』というベトベトと膜をつくる性質があります。
このバイオフィルムは、人間にとって有毒であるため、肌の傷口に作られてしまうと皮膚病の原因になる可能性があります。
【参考】詳細な美肌菌の科学情報
美肌菌は、脂肪を分解するための『リパーゼ』という酵素を持っています。
【リパーゼの働き】
- 脂質を分解して脂肪酸とグリセリンをつくる
- 脂肪酸とグリセリンから脂肪をつくる
上記のとおり、酵素であるリパーゼには、分解する働きと合成する働きの両方があります。
つまり、皮脂を分解して脂肪酸とグリセリンをつくる反応は、酵素リパーゼの働きなのです。
つぎは、美肌菌による汗の分解についての紹介です。
以下は、脂肪酸とグリセリンから脂肪(脂質)がつくられる反応、脂質が脂肪酸とグリセリンに分解される反応です。
右矢印:脂質をつくる反応
左矢印:脂質を分解する反応
上記の反応のうち、酵素リパーゼによる脂質の分解には、『水』が必須であることが分かります。
つまり、皮脂の分解には汗の存在が必須なのです。
黄色ブドウ球菌の肌に対する働き
【良い働き】
- 特になし
【悪い働き】
- 毒性の物質をつくって人体に悪影響
黄色ブドウ球菌は、悪玉菌として有名です。
また、悪玉菌は基本的にアルカリ性を好むので、アルカリ性の環境の中では元気に増えます。
汗の成分はアルカリ性なので、汗をかいて蒸れたりすると、悪玉菌が一気に増殖します。
これが、汗による肌荒れの原因の一部です。
アクネ菌の肌に対する働き
アクネ菌はよくニキビの原因と言われますが、じつは普段は善玉菌として働いています。
アクネ菌は、酸素がないところで生きる菌なので、酸素が苦手です。
そのため、できるだけ酸素が届きづらい毛穴の中に生息しています。
≪良い働き≫
- 汗と皮脂を分解して脂肪酸とグリセリンをつくる
- 脂肪酸の酸の力で悪玉菌をたおす
- グリセリンで肌を保湿
≪悪い働き≫
- 毛穴のつまりが原因で菌が大量に増えてニキビの原因になる
アクネ菌は普段は善玉菌なのですが、毛穴のつまりが原因で肌に悪い働きをするようになります。
普段は、毛穴の中には、ある程度の量の酸素がいきわたっています。
アクネ菌は酸素が苦手なので、毛穴の中に酸素がいきわたっていれば増えることができません。
しかし、過剰な皮脂により毛穴がつまると、毛穴の中は外の空気と切り離されます。
その結果、毛穴の中に酸素がいきわたらなくなり、アクネ菌が一気に増えます。
毛穴は体の中でもあるので、体が免疫機能として炎症を起こし、増え過ぎたアクネ菌を外に追い出そうとします。
これがニキビです。つまり、ニキビの根本的な原因は『皮脂の過剰分泌』なのです。
グリセリンが増えすぎると肌荒れする!?
【結論】
- 肌上でグリセリンが増え過ぎることはないので肌荒れはしない
グリセリンは肌をコーティングしてくれると紹介しましたが、逆を言えば内側の物質が閉じ込められるとも言えます。
そのため、グリセリンが多すぎると、毛穴のつまりの原因にもなり得ると考えられます。
グリセリンは美肌菌の働きで作られるので、美肌菌を増やすことが肌荒れにつながると思う人もいるでしょう。
しかし、グリセリンがつくられると同時に脂肪酸もつくられ、肌上が酸性になっていくにつれて、皮脂が分解されなくなっていきます。
グリセリンと脂肪酸は皮脂を分解することでつくられるため、皮脂が分解されなくなっていくと、必然的にグリセリンもつくられなくなります。
つまり、美肌菌の働きである程度まで肌上が酸性になると、これ以上グリセリンが作られなくなるので、毛穴のつまりにも影響がないのです。
美肌菌を増やす4つの方法
【美肌菌の効果を引き出す要素】
- 肌に水分を追加する
- 適度な皮脂が必要
- 美肌菌を増やす
【参考】肌ケアの注意点
- ヒアルロン酸配合の化粧水はあまり意味がない
- 蒸発が早いため浸透せず、肌上に無駄なヒアルロン酸成分だけが残るから
- 浸透圧という科学現象で肌の水分が逆にとられるから
1位 水を適度に飲む
- 起床後:200ml
- 朝食後:200ml
- 昼食前:200ml
- 昼食後:200ml
- おやつ時間:200ml
- 夕食前:200ml
- 夕食後:200ml
- お風呂後:200ml
- 就寝2時間前:200ml
計1.8L
肌の水分は、本来からだの中から補給されるべきであり、外部から補給はしづらいです。
そのため、水分補給をし、からだの中から保湿しましょう。
2位 顔は水洗い
洗顔でごしごし洗う方がいますが、これでは美肌菌が全滅です。
表皮の菌は水洗いだけでも流れてしまうくらい繊細です。
また、古い角質や汚れなどは、ぬるま湯でも十分きれいに落ちるので、洗顔はせずにぬるま湯で洗い流してください。
女性の場合は化粧があるので、朝はできる限りぬるま湯で洗い、夜だけ優しく洗顔するようにしましょう。
3位 汗をかく
汗は表皮の小さな穴から出てくるため、肌の水分の保持に大きく貢献します。
ただ、汗には水分だけでなく、塩分や、毒素であるアンモニアが含まれています。
アンモニアなどの成分により、本来は中性であるはずの汗が、アルカリ性になっています。
アルカリ性ということは、肌の悪玉菌が増えやすいということです。
汗をかく際は、しっかりと水分補給をして、汗のアンモニア濃度が高くならないようにするといいでしょう。
4位 ヨーグルトのホエー
ホエーは、ヨーグルトの上澄み液のことです。
ヨーグルトには乳酸菌が含まれており、乳酸菌には他の善玉菌をふやす効果があります。
ヨーグルトパックが美肌効果があると言われている理由の一つですね。
ホエーは上澄み液なので、ヨーグルトに含まれる余分な動物性の脂質もほとんど含まれていないので、ヨーグルトよりも効果があります。
以上が美肌菌の効果と増やし方です。