今回は『息が臭い原因と対処法|原因には口内細菌と胃腸の乱れの2タイプある』について科学的に紹介します。
息が臭いと、人と話すのが億劫になりますよね。
特に相手とのキョリが近いときなど、つい口に手を当てて臭いをごまかしたくなります。
そこで今回は、息が臭い原因とその対処法について、科学的根拠とともに紹介したいと思います。
息が臭い大きな原因2つ
- 口内のにおい成分が口臭の場合
- 口内以外のにおい成分が口臭の場合
口臭の原因は、上記のように大きく2種類に分けられます。
どちらも口臭の原因なのですが、『1.口内の場合』はすぐに対策ができるのに対し、『2.口内以外の場合』は長期的な対策が必要です。
なぜなら、『1.口内の場合』は口内細菌が原因、『2.口内以外の場合』は体の消化・代謝機能が原因だからです。
つまり、『2.口内以外の場合』は、生活習慣から見直さなければなりません。
口内が原因の場合の対処法
【対処法】
- 空腹時はガムを噛んで唾液を出す
- 寝起き、食前、就寝前の歯磨き
※舌も磨くこと
上記が口内が原因の場合の対処法です。
上記の対処法が効果的な理由を以下で科学的に紹介します。
口内の口臭の原因は悪性口内細菌
口臭が口内由来の場合、原因は『悪性口内細菌』です。
悪性口内細菌の中でも有名なのが、歯周病菌としても知られる『ジンジバリス菌』です。
この菌は、歯茎の食べカスや、舌苔(ぜったい:舌の表面の白いやつ)のタンパク質をたべて、臭い物質を出します。
菌の出す臭い物質は、生ごみのような臭いがするので、これが口臭の原因になるのです。
ジンジバリス菌が増えれば、発生する臭い物質の量も増加するので、口臭が悪化します。
つまり、口臭を防ぐためには、悪性口内細菌が増えるのを抑える必要があるのです。
唾液は菌が増えるのを抑える
唾液は口の中を潤すだけでなく、抗菌作用も持っています。
『寝ている間に虫歯になりやすい』のは、唾液の分泌量が減ると同時に、抗菌作用も減っているからなのです。
唾液には『リゾチーム』と呼ばれる溶菌酵素が含まれています。
細菌がリゾチームに接触すると、徐々に細菌が弱っていき、最終的に破裂して菌は死にます。
リゾチームは、鼻水や唾液など、空気と触れる粘液に含まれており、外部からの細菌の侵入を阻止しています。
しかし、リゾチームはどの細菌にも効くわけではありません。
細菌には『グラム陽性細菌』と『グラム陰性細菌』の2種類が存在します。
両者の違いは、ペプチドグリカン層という層の外側に外膜と呼ばれる防衛壁があるかないかです。
細菌はペプチドグリカン層が壊れると、破裂して死んでしまう性質を持っています。
そして、唾液などに含まれる『リゾチーム』は、細菌のペプチドグリカン層を破壊する酵素です。
そのため、リゾチームによってペプチドグリカン層を破壊された細菌は死にます。
つまり、防衛壁を持っていないグラム陽性細菌はリゾチームで死ぬのに対し、防衛壁を持っているグラム陰性細菌はリゾチームで死なないのです。
口内悪玉菌はグラム陰性細菌であるため、リゾチームで死滅しません。
菌を完全に倒すことはできませんが、弱らせて増えるのを抑えることはできます。
1日の中で息が臭くなるサイクル
上図は、生活サイクルと口臭の臭いレベルのグラフで、赤いボーダーを超えている領域は、口臭レベルが高いことを表しています。
グラフを見るとわかる通り、唾液の分泌量の少ない就寝時や、空腹時に口臭レベルが上がっています。
逆に言えば、唾液さえしっかり分泌されていれば、口臭は抑えられるということです。
【参考】唾液の分泌条件
- 食べ物や飲み物を摂取した時
【理由】
- 唾液中には、デンプン分解酵素やタンパク質分解酵素等が含まれているため、食べ物を消化する目的で唾液が分泌される
口内以外が原因の場合の対処法
【対処法】
- 食事は1日3食しっかり食べる
- 栄養バランスを考えた食事にする
- 発酵食品を食べて腸内を整える
- 水分をとって唾液量を増やす
上記が口内以外が原因の場合の対処法です。
上記の対処法が効果的な理由を以下で科学的に紹介します。
口内以外の口臭の原因は腸内の乱れと栄養不足
口臭の原因が口内以外の場合、『①腸内細菌バランスの乱れで発生する有毒ガス』『②糖分不足によるケトン体発生』が大きな原因です。
①腸内細菌バランスの乱れで発生する有毒ガス
腸内細菌には悪玉菌と善玉菌がいて、悪玉菌は有毒ガスを発生します。
また、有毒ガスは胃の消化機能を低下させて消化不良を起こさせるので、これも口臭の原因になります。
この有毒ガスは、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れて、悪玉菌の数が多くなったときに発生します。
そのため、腸内からくる口臭を抑えるためには、腸内細菌バランスを整える必要があるのです。
②栄養不足によるケトン体発生
糖分をとっていれば、糖分からエネルギーを得ることができますが、糖分をとらなかった場合、体は脂肪を分解してエネルギーを得ようとします。
この時に発生するのが、口臭のもとである臭い成分『ケトン体』です。
糖分が足りなかったとき、脂肪がアセチルCoAという物質に変えられ、さらにこのアセチルCoAがTCAサイクルという代謝でエネルギーに変えられます。
脂肪をアセチルCoAに変える代謝は肝臓で起こるのですが、TCAサイクルという代謝は肝臓以外のあらゆる臓器で起こります。
そのため、肝臓のアセチルCoAは全身に運ばれなければならないのですが、アセチルCoAという形のままだと全身に運搬ができないので、ケトン体という形をとって運搬をします。
その運搬の過程で、ケトン体の臭いにおいが体内を巡ってしまうのです。
長時間何も口にしなかったときなど、口の中から酸っぱいにおいがしますよね。
あれは糖分不足によるケトン体発生が原因なので、糖質制限や絶食などをしていると、体や口まで臭くなってしまいます。
息が臭い原因と対処法まとめ
【口内が原因の場合の対処】
- 空腹時はガムを噛んで唾液を出す
- 寝起き、食前、就寝前の歯磨き
※舌も磨くこと
【口内以外が原因の場合の対処】
- 食事は1日3食しっかり食べる
- 栄養バランスを考えた食事にする
- 発酵食品を食べて腸内を整える
- 水分をとって唾液量を増やす