今回は「独学のFX初心者にオススメのMACDとRSIでの売買タイミング」について紹介したいと思います。
・テクニカル分析の種類が多すぎてどれを使えばいいかわからない…
・いまいちテクニカル分析の意味が分からない…
という方は是非最後まで読んでみてください。
この記事を読み終わる頃には”チャートというあばれ牛”のことが少し理解できるようになっているはずです。
また、前回記事で「初心者にオススメのトレード方法」について紹介しているので、トレード方法で迷っている方はこちらも是非ご覧ください。
どの取引手法が初心者向きの手法なのかをわかりやすく書いています。
目次
1. テクニカル分析とは
テクニカル分析とは「チャートの形状や統計分析により、チャートのトレンドや推移を推測する分析」のことです。
テクニカル分析の種類は数多く存在し、その中でも有名なものは10種類ほどあります。
10種類となると、全部理解して覚えるのも少ししんどいですよね。
そこで、今回は初心者の方にも理解しやすく、すぐにでも利用できるテクニカル分析をピックアップして紹介したいと思います。以下、オススメのテクニカル分析手法です。
2. MACD(オシレータ系)
MACD(マックディー)とは「Moving Average Convergence/Divergece Trading Method」の略であり、「移動平均収束拡散手法」と呼ばれています。
上図のUSD/JPYチャート下の2本の線グラフが、FXにおけるテクニカル分析の一つであるMACDです。
MACDでは主にMACD線(赤線)とシグナル線(水色)の2つが用いられ、この2つの曲線を駆使することにより売買のタイミングを計ります。
MACD線とは
MACD線=短期指数平滑移動平均-長期指数平滑移動平均
移動平均とは、ある期間(設定日数)の終値の平均のことです。移動平均には「単純移動平均(SMA)」と「指数平滑移動平均(EMA)」があります。
単純移動平均は、名前の通り「数日間(設定日数)の終値の平均値」を表しています。
例)単純移動平均=(1日目の終値+2日目の終値+…n日目の終値)/ n
※ n=設定日数
指数平滑移動平均は、「直近日の終値の比重を重くした、数日間(設定日数)の終値の平均値」を表しています。
例)指数平滑移動平均=(1日目の終値+2日目の終値+…n日目の終値+n日目の終値)/(n+1)
つまり、単純移動平均では”設定日数期間の終値を均等に平均している”のに対し、指数平滑移動平均では”直近値(今回であればn日目の終値)にフォーカスした平均”をとっています。
そのため、単純移動平均は実際の相場から少し遅れた動きを見せるのに対し、指数平滑移動平均は直近の相場の動きを反映した形となっています。
さて、では早速「MACD線=短期指数平滑移動平均-長期指数平滑移動平均」の意味を考えていきましょう。
この意味を考えるにあたって、視覚的に理解してもらいやすいように単純移動平均でこの式を考えてみます。
例えば、短期移動平均を”ここ5日間のチャートの終値の平均”、長期移動平均を”ここ20日間のチャートの終値の平均”と仮定します。
直近3日前までは平坦なチャートを描いていたが、3日前に急にチャートが上昇トレンドに変わったとします。
すると、それぞれの移動平均はどのようになるでしょうか。皆さんで考えてみましょう。
上表が直近20日間のドル/円価格であるとします。
5日間の移動平均値と20日間の移動平均値はそれぞれどのようになるでしょうか。
上図は5日間の移動平均値を表しています。赤線がチャート、黒線が近似直線、オレンジ塗の点が移動平均値を表しています。
するとどうでしょう。5日間の移動平均値は106.20円になりますね。
次は20日間の移動平均値についてです。
上図から、20日間の移動平均値は105.30円となります。
つまり、短期(5日間)移動平均値は106.20円、長期(20日間)移動平均値は105.30円となります。長期の方が短期に比べて遅行してチャートが進むことが分かりますね。
さて、ここで先ほどのMACD線の定義に戻ってみましょう。
MACD線は「短期指数平滑移動平均ー長期指数平滑移動平均」で表されるため、今回のケースでいえば、106.20円-105.30円=0.9円となります。
※今回は、視覚的に理解しやすいように単純移動平均値で計算していますが、指数平滑移動平均に変換しても短期と長期の値の上下関係は変わりません
0.9円は0より大きな数値、つまり正の数値(MACD線の値が正)です。これが非常に重要。
今回のようにMACD線の値が正の場合のチャートのトレンドはどうなっているでしょうか。上昇トレンドになっていますよね?このことから、以下の事実が言えます。
・MACD線の値は正の値をとる時、相場は上昇トレンドにある
・MACD線の値は負の値をとる時、相場が下降トレンドにある
⇒つまりMACD線が正と負の領域を横切るとき、トレンドが変化する
シグナル線とは
ある一定期間(設定期間)の「単純移動平均線」のことです。そのため、直近の移動平均を表す「指数平滑移動平均線」よりも遅行して進みます。
ここでおさらいです。最新の相場を反映している順番はどうなるでしょう。
短期指数平滑移動平均>長期指数平滑移動平均>単純移動平均
MACDの使い方とオススメの設定
上記までが、MACD分析に用いる「MACD線」と「シグナル線」の説明でした。正直な話、別に上記は理解していなくても大丈夫です。
農家の人が畑を耕すときに、使い方さえ分かっていれば、トラクターの製造方法から理解している必要はないですよね。それと同様です。
MACD分析では、それぞれ明確な「買い」と「売り」のタイミングがあります。その売買取引のタイミングについて紹介します。
以下、相場チャート(上)とMACD(下)になります。
買いのタイミング
ゼロより下の領域でMACD線(赤色)がシグナル線(水色)を下から上に抜いた時。
上図でいうと、黄色〇の①・②・③です。①と①’は一回目のトレード、②と②’は二回目のトレード、③と③’は三回目のトレードを表しています。
また、MACD線とシグナル線が共にゼロのラインを上回れば、上昇トレンドの信頼度が増します。
売りのタイミング
ゼロより上の領域でMACD線がシグナル線を上から下に抜いた時。
上図でいうと、緑〇の①’・②’・③’です。
また、MACD線とシグナル線が共にゼロのラインを下回れば、下降トレンドの信頼度が増します。
MACDのオススメの設定
先ほど紹介したように、MACDには「MACD線」と「シグナル線」が存在します。
MACD線にはさらに「短期指数平滑移動平均線」と「長期平滑移動平均線」があります。
そのため、MACD分析では主に
1. 短期指数平滑移動平均線
2. 長期指数平滑移動平均線
3. 単純移動平均線(シグナル線)
の設定をしなければなりません。
通常、MACDの設定は以下になります。
■短期指数平滑移動平均線 ⇒ 12(9でも可)
■長期指数平滑移動平均 ⇒ 26
■単純移動平均線(シグナル線)⇒ 9
MACDのデメリット
相場が上下に揉み合い、トレンドが存在しないとき(ボックスレンジ)、MACDはゼロ付近を平行推移します。
そのため、トレンドが存在しない相場の揉み合い時は、MACDは機能しない傾向にあります。相場があまり動いていないときはトレードしないことを個人的にはお勧めします。
また、MACD線がシグナル線をゼロより下の領域で下から上に抜いたのにすぐにチャートが下降した、などというケースもあります(これをダマシという)。
このダマシを補うものが、以下のRSIです。
3. RSI(オシレータ系)
RSI(アールエスアイ)とは「Relative Strength Index」の略であり、「相対力指数」とも呼ばれています。
RSIは、今相場が「買われすぎ」の状態にあるのか、「売られすぎ」の状態にあるのかを判断する指標です。
では一体「買われすぎ」や「売られすぎ」を意識する意味とは何なのでしょうか。
FXの相場は集団心理に基づいています。みんなが”今が買いだ!”と思い、買いポジションで入った結果、ドル買いが優勢となりドル高/円安方向に推移していき、チャートは上昇。
しかし、ある程度まで上昇すると、またみんなが”あれ?今買われすぎじゃね?売りだ!”と思い、売りポジションで入ります。
その結果、ドル売りが優勢となりドル安/円高方向に推移していきチャートは下降。
このように、集団が「買われすぎ」「売られすぎ」を意識した結果、チャートはN字に推移していきます。
この、集団が意識する「買われすぎ」と「売られすぎ」の指標がRSIなのです。
RSIの売買タイミングとオススメの設定
上図の紫線がRSI線になります。RSI線は0~100%の間を推移します。
そして、0%に近いほど「売られすぎ」、100%に近いほど「買われすぎ」を表しています。では実際にRSIの使用方法について紹介します。
上図の紫線のグラフの右軸に、何かしらの数字が3つ書かれています(見えづらくてすみません…)。
ここにはそれぞれ「70、50、30」と書かれています。これはそれぞれ「70%、50%、30%」を表しています。
RSI分析では、RSI線が
■70以上であれば「買われすぎ」なので売るチャンス
■30以下であれば「売られすぎ」なので買うチャンス
ですので、グラフの70と30のラインを意識して売買のタイミングを計りましょう。
上図でいうと、黄色〇の①・②・③が「売られすぎ」なので買いタイミングであり、緑〇の①’・②’・③’が「買われすぎ」なので売りタイミングとなります。
また、RSIでは50が基準値であり、一般的に50以上であれば上昇トレンド、50以下であれば下降トレンドとなります。
【RSIのオススメの設定】
RSI分析では一般的に「14日」を設定
RSIのデメリット
RSIでは、強いトレンドが生じているときは「100付近に張り付いて推移」や「0付近に張り付いて推移」ということが起きてしまうため、強いトレンド中は売買のタイミングがイマイチつかめません。
そのため、強いトレンド中はRSIでの判断は危険です。
このように、MACDにもRSIにも苦手とする分野が存在するため、両方の指標を見ながら、両方の条件がマッチするときにトレードをすることを心がけると、より正確なトレードができます。
また、この二つのテクニカル分析だけでは満足できず、さらに精度を上げたい、という方は以下の記事をご覧ください。